「うちの子供が、今の会社を辞めて転職したいと言い出したけれど、本当に大丈夫かしら……」
このようなご相談を、保護者の方から受ける機会が近年非常に増えています。終身雇用が当たり前だった親世代から見れば、社会人になって数年で会社を辞める選択は、どうしてもリスクが高く見えてしまうものでしょう。
しかし、人手不足が加速する現代の労働市場において、20代の転職市場はかつてないほど活発化しています。そこで今回は、株式会社学情が実施した「20代転職意識調査(希望年収)」のデータをもとに、採用現場で数多くの若手面接を担当してきた筆者の実感と合わせて、「20代転職者のリアルな現在地」をお伝えします。
1. 20代の転職希望年収「301万~400万円」が最多。職歴3年が転換点に
株式会社学情が20代の就職・転職希望者を対象に行った調査によると、現在の年収は職歴のある20代で「301万~400万円」が29.5%で最多となっています。また、第二新卒(職歴3年未満)では「〜300万円」の割合が15.5%と、やや高い割合を示しています。
そして、転職時に希望する年収についても、全体では「301万~400万円」が33.3%で最多という結果が出ました。(出典:株式会社学情「20代転職意識調査(希望年収)」/調査対象:20代就職・転職希望者186件/調査期間:2026年8月6日~8月23日)
ここで注目すべきは、職歴の長さによる意識の違いです。職歴3年未満の「第二新卒」層では現状維持〜堅実な年収アップを求める傾向が強いのに対し、職歴3年以上の「ヤングキャリア」層になると、半数近く(約48%)が「401万円以上」の年収を希望するようになります。
採用の現場に立っていても、この「3年目の壁」は非常に強く実感するところです。新卒で入社して1〜2年目は「まだ仕事の全体像を覚えている段階」ですが、3年目を過ぎると後輩の指導や一定規模の業務を1人で回せるようになり、「そろそろ自分の市場価値に見合った評価や給与がほしい」と考える若者が増えるのです。
2. 「年収400万円」のハードルと企業側が見ているリアルな評価軸
では、20代の転職希望者が思い描く「年収400万円」は、企業側から見て妥当な要求なのでしょうか。
人事担当者としての本音をお話しすると、「直前の実務経験やポテンシャル次第で十分に狙えるが、根拠のない年収アップ提示は厳しい」というのが現実です。
企業が中途採用を行う際、若手に対して求める評価基準は「第二新卒(職歴3年未満)」と「ヤングキャリア(職歴3年以上)」で大きく異なります。
2.1 第二新卒層(職歴3年未満)
企業が求めるのは「前職の染まりきっていない素直さ」「意欲・ポテンシャル」「コミュニケーション力」です。前職での実績が少ないため、大幅な年収アップを狙うというよりは、「労働環境の改善」や「未経験職種への挑戦」を目的とした転職が多くなります。提示年収も300万〜350万円程度からのスタートとなるケースが主流です。
2.2 ヤングキャリア層(職歴3年以上)
企業は「即戦力」と「再現性のあるスキル」を求め始めます。単に「3年間在籍していた」という年数ではなく、「どのような業務でどんな成果を上げ、それを自社でどう再現できるか」を具体的に説明できるかどうかが問われます。ここを説得力をもって語れる求職者に対しては、企業も年収400万〜450万円以上の提示を惜しみません。
