大企業に入社することは、周囲に”成功”と思われることが多いでしょう。たしかに、大企業に入社することのメリットは大きいですが、デメリットもあります。

■大企業に入社するメリット
・同期が多い
・ネットワークが広がる
・福利厚生が充実している
・昇給のイメージが持ちやすい
・(金融機関において住宅ローンなどを借りる際に)信用がある
・社員教育や研修制度が充実している
・(グローバル企業の場合)海外へ転勤するチャンスがある

■大企業に入社するデメリット
・同期や先輩・後輩との競争が厳しい
・配属の希望があまり叶わない
・仕事が細分化され過ぎている
・自分が携わる仕事の範囲が限定的
・自分の市場価値を上げる仕事に関われない
・転勤の可能性がある
・内勤だと外部との接点が少ない
・次の配属まで時間がかかる

手厚い福利厚生、社会からの高い信頼などは、大企業に入社する大きなメリットです。一方で、いわゆる「歯車」のような働き方を強いられるのは、大企業ならではのデメリットといえるでしょう。

大企業は、自分の「市場価値」を高められない?

大企業のなかでも、”旧態依然”とした社内体制が残る大手金融機関では、若者が次々に転職しています。

金融機関にいると、出世コースに自分が乗っていないことが透けて見え、モチベーションを上げにくいことが退職する理由のひとつです。「昼食はチームメンバーと一緒にとる」といった昔ながらの風習があり、風通しの悪さを感じることもあるといいます。

また、大企業に入社しても、自分の希望の仕事に就くことは難しいです。とくに、同期が多く、従業員が多い会社に入社すると、希望していない仕事に就くことのほうが多いものです。

そして、「終身雇用」が崩れた現在、大企業であってもいつ職を失うか分からない時代です。そのため、会社に依存することに危機感を覚え、「社外に出て自分の市場価値を高めよう」と考える若手社員がいることは、当然のことともいえるでしょう。

「成長できる環境」を提供できるか、大企業の課題

これからの不透明な時代を生き抜くには、「個人の力」をいかに上げるかが大切です。一方で、大企業は仕事が細分化されていたり、社内が旧態依然としていて十分に力を伸ばせなかったりと、「個人の力」を上げる環境ではない場合が多いようです。

大企業に入社することに、メリットがあることはたしかです。しかし、「成長できない」という現実に直面し、大企業を去る若者が多いのもうなずけます。新卒社員にも刺激的な仕事をさせる、希望を十分に配慮した異動をするなど、若手が居続けたいと思える環境を整備することが、大企業の喫緊の課題といえるでしょう。

【参考】
「新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)を公表します」(厚生労働省)

LIMO編集部