ある金融機関勤務のBさんは、女性部下に対して何も言えなくなってしまったと言います。

Bさんがいるのは女性が働きやすい職場と言われていますが、そんな社内でも深い悩みがあるのだそう。「セクハラと訴えられるのが怖くて女性の部下に何も言えない。すでに何人か顔見知りの支店長や課長などがハラスメント行為を働いたものとして社内処分が出ている」と表情を曇らせます。

Bさんは「女性社員に話しかけるときには本当に業務外のことは話さない。それがたとえ天気の話であっても。何を言われるかわからないから」と言います。しかし、それはそれで女性社員から「Bさんは男性社員と女性社員を差別している」とか「男性と女性の扱いに差をつける」などと噂されてしまったことも。

「どうしたらいいんだと頭を抱えたのはまさにこのとき」と語るほど、精神的に追い詰められたそう。確かにセクハラやパワハラ防止のための対策を取ることはとても大事ですが、こうしたコミュニケーション不全に陥ってしまうこともあるようです。

仕事をしない社員に注意できないことも

同じく金融機関で働くCさん。彼は、妊娠しているからと言ってほとんど仕事をしない女性社員の扱いに困っています。

「具合が悪いと言っているので『体のことが一番だから仕事のことは気にせず帰ってもらって大丈夫ですよ』と伝えているのに、全然帰らない。帰らないで具合悪そうにして、なぜか18時半くらいまで残業をする」のだとか。

彼女のような人がいると周囲の人のモチベーションを下げる一つの要素となりうることもあり、Cさんは早々に人事部に相談。しかし、人事部は「妊娠しているから大事に」の一点張り。現実は何も解決しておらず、あと1〜2カ月の辛抱だと思って過ごしているのだといいます。

まとめ

「ハラスメントと言われてしまうのでは…」と戦々恐々としている管理職は少なくないのではないでしょうか。ハラスメントというのは線引きが難しいのと、被害者の主観に基づいて申告されること、その両方が揃うからこそ非常に厄介な問題と言えそうですね。

大塚 ちえ