4.1 退職金を加えると、差は362万9000円に広がる
退職金は、東京都の調査による大学卒・自己都合退職のモデル退職金を使いました。勤続15年で辞めると209万3000円です。
勤続5年で一度辞めて43万2000円、転職先を勤続10年で辞めて112万5000円の場合は、合わせて155万7000円で、差は53万6000円です。
この試算は、勤続年数ごとの平均を当てはめた単純なモデルです。実際には、転職によって給与が上がる人も下がる人もいます。
モデル退職金も、都内の従業員10〜299人の中小企業を対象とした調査で、卒業後すぐに入社した人を想定した数字のため、転職先での退職金の計算とは一致しない場合があります。
それでも、勤続年数が数え直しになることが、給与の伸びと退職金の積み上がりの両方に影響することは読み取れます。
5. 転職するときは、月給だけでなく昇給の仕組みと退職金の計算方法まで比べる
試算では、勤続5年で転職すると、15年間で給与と退職金を合わせて362万9000円の差が出ました。ただ、これは「転職しないほうがよい」という意味ではありません。
転職で給与が大きく上がるなら、その差を上回ることもあります。大切なのは、転職するときに目先の月給だけを比べるのではなく、昇給の仕組みや退職金の計算方法まで含めて、数年後、十数年後の姿を比べることです。
老後資金の準備という点では、勤め先を変えると、退職金や企業年金の受け取り方が変わることもあります。勤め先の制度を確かめ、必要な手続きを漏れなく済ませておきましょう。
参考資料
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計 全国計表 第13表 事業所規模別及び勤続年数別の給与所得者数・給与額」
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計 全国計表 第10表 事業所規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額」
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」
田中 友梨