令和9年分の「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の送付が、2026年9月7日(月曜)から始まりました。
日本年金機構は、送付の対象になる年金額を年分ごとに公表しています。令和9年分は65歳以上で148万円以上、65歳未満で98万円以上の老齢年金を受け取っている方が対象です。
この記事では、令和6年度末現在の年齢別の平均年金月額を60歳から90歳以上まで確認したうえで、申告書が届く年金額と、所得税の源泉徴収の対象になる年金額の違いをみていきます。
なお、年代別・年齢別の平均年金月額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 令和9年分の「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の送付が9月7日に始まった
まず、申告書がどのような方に送られているのかを確認します。
1.1 送付の対象になるのは65歳以上で年金額148万円以上の方
日本年金機構は、老齢または退職を支給事由とする年金(老齢福祉年金を除く)を受け取っていて、年間の金額が一定額以上の方へ申告書を送付しています。
令和9年分の送付対象は、65歳未満の方が98万円以上、65歳以上の方が148万円以上です。退職共済年金の受給者であって老齢基礎年金が支給されている方は、退職共済年金の年金額が70万円以上となります。
1.2 一定の金額に満たない方には送られていない
日本年金機構は、一定の金額に満たない方には申告書を送っていないと案内しています。送られていない方は、申告書を提出する必要はありません。
前年以前に電子申請で提出した方や、ねんきんネットで申告書のペーパーレス化を登録した方にも紙の申告書は送られません。これらの方にはマイナポータルのお知らせで案内が届きます。
2. 公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て
年齢別の平均年金月額をみていく前に、公的年金の基本を確認しておきます。
公的年金の基本的な仕組みについては、LIMOの記事「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」から要点を引用して確認しておきましょう。
日本の公的年金は、2階建て構造で、1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金(会社員・公務員)となっています。国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が対象となる基礎的な年金制度です。自営業やフリーランス、学生などが主に加入し、保険料は自分で納めます。受給額は加入期間に応じて決まりますが、満額でも月約7万円程度が目安です。厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、国民年金に上乗せして支給されます。保険料は給与から天引きされ、収入や加入期間によって将来の受給額が変わります。
出所:【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
なお令和8年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は、1人分で月額7万608円です。昭和31年4月1日以前生まれの方は月額7万408円となります。
3. 【年齢別】厚生年金の平均年金月額を60歳から90歳以上まで確認する
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、令和6年度末現在の年齢別の平均年金月額をみていきます。なお厚生年金保険(第1号)の平均年金月額には、基礎年金の月額が含まれています。
3.1 60歳代の厚生年金の平均年金月額
60歳から64歳は6万8758円から10万9323円、65歳から69歳は14万9862円から15万2709円でした。
64歳までが低いのは、繰上げ受給を選んだ方や、定額部分のない報酬比例部分のみを受け取っている方が含まれるためです。
3.2 70歳代の厚生年金の平均年金月額
70歳から74歳は14万5583円から15万455円、75歳から79歳は15万862円から15万3115円でした。
65歳以上でいちばん低いのは73歳の14万5583円です。
3.3 80歳代と90歳以上の厚生年金の平均年金月額
80歳から89歳は15万3729円から16万6767円で、年齢が上がるほど高くなる傾向がみられます。90歳以上は16万4027円でした。
全年齢でみた平均年金月額は15万289円、受給権者数は1608万5696人です。
【60歳代】
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
【70歳代】
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
【80歳代・90歳以上】
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
- 90歳以上:16万4027円
4. 【年齢別】国民年金の平均年金月額を60歳から90歳以上まで確認する
同じ資料から、国民年金の年齢別の平均年金月額をみていきます。国民年金の受給権者には、被用者年金が上乗せされている方も含まれています。
4.1 60歳代の国民年金の平均年金月額
60歳から64歳は4万5186円から4万7896円、65歳から69歳は6万978円から6万1369円でした。
65歳未満の受給権者は、繰上げ支給を選んだ方です。
4.2 70歳代の国民年金の平均年金月額
70歳から74歳は5万9813円から6万1011円、75歳から79歳は5万8676円から5万9659円でした。
厚生年金とは異なり、年齢が上がるほど下がる傾向がみられます。
4.3 80歳代と90歳以上の国民年金の平均年金月額
80歳から89歳は5万7857円から5万9675円で、90歳以上は5万5633円でした。
全年齢でみた平均年金月額は5万9310円、受給権者数は3345万4617人です。
【60歳代】
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
【70歳代】
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
【80歳代・90歳以上】
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
- 90歳以上:5万5633円
5. 扶養親族等申告書が届いても所得税が源泉徴収されない方がいる
申告書が届くと「所得税が引かれる」と受け止めがちですが、送付の基準と源泉徴収の基準は別の数字です。
5.1 源泉徴収の対象になるのは令和9年分以降で65歳以上214万円以上
日本年金機構によると、所得税の源泉徴収の対象になる年金額は、令和9年分以降で65歳未満が164万円以上、65歳以上が214万円以上です。退職共済年金の受給者であって老齢基礎年金が支給されている方は、退職共済年金の年金額が137万円以上となります。
申告書が送られてくる基準は65歳以上で148万円以上ですから、送付の基準のほうが66万円低い水準です。
5.2 年齢別の平均年金月額は214万円に届かない
65歳以上の厚生年金の平均年金月額は、いちばん低い73歳が14万5583円、いちばん高い89歳が16万6767円でした。年額にすると174万6996円から200万1204円です。
いずれも申告書が送られる148万円は上回りますが、源泉徴収の基準である214万円には届きません。平均額より多く受け取っている方は対象になりますが、平均的な水準であれば申告書は届いても所得税は源泉徴収されない計算になります。
国民年金は65歳以上の平均年金月額が5万5633円から6万1369円で、年額にすると66万7596円から73万6428円です。送付の基準である148万円にも届きません。
なお日本年金機構は、年金が源泉徴収の対象とならない方であっても、住民税の非課税限度額以上の年金額である場合は申告書の提出が必要としています。住民税の非課税限度額は市区町村ごとに異なります。
家計相談では「申告書が届いたので税金が増えるのでしょうか」というご質問をいただきます。申告書が届くことと所得税が源泉徴収されることは、基準になる金額が別々に定められています。
まずはご自身の年金額を年額で把握し、どちらの基準に当てはまるのかを確かめてみてください。


