6. 老齢年金は「雑所得」にあたる
年金に税金がかかるかどうかは、年金の種類によって変わります。日本年金機構の説明を確認します。
6.1 障害年金と遺族年金に税金はかからない
日本年金機構は、老齢年金には所得税法により「雑所得」として所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税がかかると説明しています。
一方で、障害年金と遺族年金には税金はかかりません。ここでいう老齢年金とは、老齢または退職を支給事由とする年金(老齢福祉年金を除く)を指します。
6.2 令和9年1月からは防衛特別所得税もあわせて徴収される
国税庁によると、令和8年度の税制改正で防衛特別所得税が創設されました。源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額を、所得税とあわせて徴収する仕組みです。
あわせて復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられ、課税期間が令和29年12月31日まで10年間延長されました。これらは令和9年1月1日以後に生ずる所得に対する所得税について適用されます。
国税庁は、改正前の復興特別所得税2.1%と、改正後の防衛特別所得税1%および復興特別所得税1.1%とで合計税率2.1%に変更はなく、源泉徴収税額の計算方法も変わらないとしています。
7. 扶養親族等申告書を提出しなかったときは確定申告で控除を受ける
申告書は、年金から源泉徴収される所得税や住民税において各種控除を受けるために必要な書類です。
7.1 提出しないと確定申告をしない限り各種控除が受けられない
日本年金機構は、年金にかかる所得税額および復興特別所得税額の計算は、課税対象となる方が提出した申告書をもとに行われていると説明しています。
申告書が提出されない場合は、確定申告をしないと各種控除が受けられません。提出期限に間に合わないときも、なるべく早く提出することが案内されています。
7.2 医療費控除や寄附金控除は確定申告で受ける
日本年金機構は、確定申告が必要でない場合でも、社会保険料控除や生命保険料控除を受けられる場合があるとしています。
ふるさと納税等について寄附金控除を受けようとする場合や、医療費にかかる医療費控除を受けられる場合など、源泉徴収された所得税および復興特別所得税が納め過ぎとなっている方は、確定申告をすれば還付を受けられます。
8. 各種控除に該当しない方は提出しなくてよい
申告書が届いた方のうち、各種控除に該当しない方は提出する必要がありません。
日本年金機構が示す「各種控除に該当しない方」とは、受給者本人が障害者・寡婦等に該当せず、控除対象となる配偶者または親族、または退職手当等を受ける見込みのある配偶者または親族がいない方です。
前年分の申告書を提出した方には、前年の申告内容があらかじめ印刷された申告書が送られます。変更がない場合は「前年から変更なしで申告します」に丸をして氏名を記入し、提出すれば足ります。
9. まとめにかえて
令和9年分の扶養親族等申告書は、65歳以上で年金額148万円以上の方などに送られています。一方で所得税の源泉徴収の対象になるのは、令和9年分以降で65歳以上214万円以上の方です。
令和6年度末現在の年齢別の平均年金月額でみると、65歳以上の厚生年金は年額174万6996円から200万1204円で、源泉徴収の基準には届きません。申告書が届いたことと、所得税が源泉徴収されることは別の話です。
まずはご自身の年金額を年額で確認し、控除の対象になる家族がいるかを確かめてみてください。記入方法が分からないときは、扶養親族等申告書お問い合わせダイヤルやお近くの年金事務所で相談できます。
参考資料
- 日本年金機構『令和9年分「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の紙の提出方法』
- 日本年金機構『老齢年金から源泉徴収される所得税の控除を受けるとき』
- 厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』
- 日本年金機構『令和8年4月分からの年金額等について』
- 国税庁『防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし(令和9年1月以後の源泉徴収)』
村岸 理美