2. 対象外だと思って申請していない人はどうなるのか
申請の期限を確かめる前に、自分が対象かどうかの前提が古いままだと動きようがありません。児童手当の所得制限については、その前提が変わっています。
撤廃前の仕組みとあらためて申請が必要になる人については、LIMOの記事「児童手当の所得制限は令和6年10月に撤廃済み。以前は年収900万円台超で支給ゼロだった世帯も、申請すれば今から受け取れるという見落としがちな事実を解説」から要点を借りて確認します。
2.1 所得制限は令和6年10月分から撤廃されている
まず現在の制度を確かめます。こども家庭庁が公表している児童手当制度のご案内には、所得による支給制限についての記載がありません。令和6年10月分の児童手当から所得制限が撤廃されたためです。所得がどれだけ高くても、児童を養育していれば所定の金額が支給される仕組みに変わっています。
児童手当の所得制限というキーワードで検索する人は多いものの、その多くは撤廃前の制度を前提にした疑問だと考えられます。まず今は所得制限がないという事実を押さえるのが先です。
注意したいのは、この所得制限撤廃が自動的に反映されるわけではないという点です。以前の制度で所得上限を理由に支給されていなかった世帯は、市区町村への申請をあらためて行わない限り、撤廃後も支給されません。
2.2 撤廃前は満額・特例給付・支給なしの3段階だった
何が変わったのかを確かめます。
令和6年9月分までの児童手当制度では、所得が一定の基準(所得制限限度額)を超えると、本来の支給額ではなく「特例給付」として月額一律5000円に減額されていました。さらに所得が「所得上限限度額」を超えると、特例給付も含めて支給自体がありませんでした。つまり、所得によって「満額」「特例給付(減額)」「支給なし」の3段階に分かれていたのが、撤廃前の仕組みです。
出所:LIMO「児童手当の所得制限は令和6年10月に撤廃済み。以前は年収900万円台超で支給ゼロだった世帯も、申請すれば今から受け取れるという見落としがちな事実を解説」
この所得上限限度額を超えて児童手当も特例給付も受け取っていなかった世帯こそが、令和6年10月の改正で新たに支給対象になった層です。こども家庭庁の案内でも、制度改正後に児童手当を受給するために新たに申請が必要な方の一つとして明記されています。
こども家庭庁が挙げている新たに申請が必要な方は、全部で5つです。高校生年代の児童を養育している方(現在児童手当を受給している方を除く)、中学生以下の児童を養育していて所得上限超過により受給していない方、児童の兄姉等について監護に相当する世話等をし生計費を負担している方、施設等受給資格者で高校生年代の児童がいる方、新たに施設入所等児童となる者がいる方です。自分がどれに当たるかを確かめておいてください。
2.3 旧制度の所得上限限度額は扶養親族の人数で違っていた
自分が対象だったかを振り返る手がかりも示されています。
静岡市が公表していた令和6年9月分までの基準では、扶養親族等の数が0人の世帯で所得制限限度額622万円・所得上限限度額858万円、扶養親族1人で660万円・896万円、2人で698万円・934万円、3人で736万円・972万円と、扶養親族の人数が増えるほど限度額も高く設定されていました。
ここでいう所得は給与収入そのものではなく、給与所得控除等を差し引いた後の金額です。額面の年収だけを見て対象外だったはずだと判断するのではなく、実際の所得額を確認する必要があります。
これらの基準額はあくまで市区町村ごとに公表していた目安の一つであり、正確な判定には毎年の所得証明が必要でした。基準額の示し方は自治体によっても異なります。
2.4 特例給付を受けていた人は自動継続、支給ゼロだった人は要申請
誰が申請すべきかの線引きが分かれます。
制度改正後にあらためて申請が必要になるのは、中学生以下の児童を養育しているが所得上限限度額を超過し、児童手当も特例給付も受給していない方です。改正前に特例給付を受け取っていた世帯は、この申請の対象には含まれていません。
この線引きを見落とすと、以前から児童手当をもらっていなかったから今回も対象外だろうと思い込み、本来受け取れるはずの手当を申請しないままになってしまいます。所得が高い世帯ほど、この見落としのリスクが大きいことになります。
なお、この申請には猶予期間が設けられており、令和7年3月31日までに申請すれば、令和6年10月分にさかのぼって支給されます。この猶予期間はすでに終了しているため、今から新たに気づいた場合は、通常のルール(原則として申請した月の翌月分から支給)に従うことになります。
出所:LIMO「児童手当の所得制限は令和6年10月に撤廃済み。以前は年収900万円台超で支給ゼロだった世帯も、申請すれば今から受け取れるという見落としがちな事実を解説」
つまり今から気づいた場合は、原則として申請した月の翌月分からの支給になります。1ページ目で見た15日以内という区切りは、この通常のルールの中で効いてくる決まりです。
2.5 令和6年10月の改正は所得制限撤廃だけではない
同時に変わった点も挙げられています。
令和6年10月分からの改正では、所得制限の撤廃に加えて、支給期間が高校生年代まで延長されたこと、第3子以降の支給額が月額3万円に増額されたこと、支払月が年3回から偶数月ごとの年6回に変更されたことも同時に実施されています。
高校生年代の子を養育している世帯や、第3子以降に該当する子がいる世帯は、所得制限の有無にかかわらず支給額や支給対象そのものが変わっている可能性があります。これらの改正内容はそれぞれ独立した条件で判定されるため、所得制限は関係ないが支給期間の延長で新たに対象になるというケースも十分あり得ます。
3歳以上高校生年代までの子が1人なら月額1万円が支給されるため年間12万円、第3子以降に該当する子であれば月額3万円で年間36万円が新たに受け取れる計算になります。
自分の世帯が申請の対象になるかどうかは、お住まいの市区町村の児童手当担当窓口に確認してください。過去に所得上限を理由に不支給だったかを確認したい場合は、過去の通知書が手元に残っていれば手がかりになります。
3. 15日という区切りと、申請が必要な人の条件を分けて押さえる
ここまで、児童手当の申請の期限と、所得制限の撤廃による申請の必要性を見てきました。
手続きの側は、出生日の次の日から数えて15日以内、転出予定日の次の日から数えて15日以内、公務員でなくなった日の次の日から数えて15日以内という3つの場面で同じ区切りが置かれ、原則は申請した月の翌月分からの支給だが15日以内であれば申請した月分から支給される、そして申請が遅れると原則として遅れた月分は受けられないという形でした。
受給が始まった後は、現況届の扱いを市区町村ごとに確かめること、支給対象の児童がいなくなったときや住所・氏名が変わったときなど5つの場面で届け出が必要になること、振込先は受け取る人本人の名義の口座に限られることを確認しました。
前提の側は、所得制限が令和6年10月分から撤廃され、撤廃前に所得上限限度額を超えて支給がなかった世帯はあらためて申請しないと支給されない、特例給付を受けていた世帯は申請不要、さかのぼりの猶予期間は令和7年3月31日で終了しているという整理でした。
自分の世帯が申請の対象になるか、いつ分から支給されるかは個別の判定になります。申請の手続きと期限については、お住まいの市区町村の児童手当の担当課、手当を受け取る人が公務員の方は勤務先の所属庁にご確認ください。
参考資料
- こども家庭庁「児童手当Q&A」
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」
- 静岡市「児童手当の所得制限(令和6年9月分まで)」
- LIMO「児童手当の所得制限は令和6年10月に撤廃済み。以前は年収900万円台超で支給ゼロだった世帯も、申請すれば今から受け取れるという見落としがちな事実を解説」
LIMO編集部家計解説班