東日本大震災の時は、東京で大きな火災が発生しなかったので良かったですが、大きな火災が発生して道路上で渋滞している車に次々と燃え移ったら、等々と考えると背筋が寒くなります。

そうしたリスクは、東京に人や車が多すぎることによって発生しているわけで、その意味でもお互いが迷惑をかけあっている、ということができるでしょう。そうであれば、何らかの手段で人々に東京から出て行ってもらう必要があります。そのために、固定資産税を引き上げて、東京を住みにくくするのです。

個々人が東京を出て行くことを期待しても、地方に仕事がなければ難しいかもしれません。しかし、東京都心にある企業が「都心の一等地にいる必要はないから、地方に事務所(の一部)を移転しよう」と考えてくれれば、地方に仕事が生まれ、人々が地方に移住する受け皿になるでしょう。

それが地方創生の動きを加速するならば、一石二鳥だと言えそうです。もっとも、どこの地方がその恩恵にあずかるのかは、地方間の企業誘致競争の結果次第、ということになるのでしょうが。

都心に代々住む低所得者を追い出すのが正義か

固定資産税は、地価の高い所に土地を持っている人に課税するわけですから、資産課税であり、所得や消費に対する課税とは性格が異なります。「金持ち」というと日本では「高額所得者」を意味する場合が多いのですが、本稿は都心の家を相続した人に対して「金持ちだから税金を払え」というわけですね。

彼らは、普通のサラリーマンあるいは零細商店主で決して高額所得者ではないかもしれませんので、高い固定資産税を課せられたら、生活ができないかもしれません。そんな増税は正義と言えないのではないか、という考え方もあるでしょう。しかし、筆者はそうは思いません。

固定資産税が払えないなら、都心の土地を売って郊外に引っ越せば良いのです。固定資産税が高い土地はかなり高額で売れるでしょうから、かなり広い家に住むことができるでしょう。

「住み慣れた土地を離れるのは嫌だ」という気持ちはわかりますが、東京都民の多くは故郷から集団就職して出てきた人か、親の兎小屋に同居できずに住宅ローンを借りて郊外に兎小屋を購入したサラリーマンでしょう。そうした人たちと比べれば、彼らは恵まれているわけですから、我慢してもらいましょう。誰かに我慢してもらうとすれば、彼らに頼む方が正義に近いでしょうから。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義