資格取得やスキルアップにかかった費用は、雇用保険から一部が戻ってきます。
厚生労働省によると、専門実践教育訓練では最大で教育訓練経費の80%、年間上限64万円が支給されます。ただし受講料はいったん自分で払うことになり、加入期間や申請の期限にも条件があります。
この記事では3種類の給付率と受給要件を確認したうえで、独身20代・30代の貯蓄がどのあたりにあるのかを見ていきます。
1. 【教育訓練給付金】3種類の給付率と、受けるための条件
厚生労働大臣が指定した講座を修了したときに支給される仕組みです。まず3種類の違いから確かめます。
1.1 給付率は20%、40%、50%の3種類から始まる
出発点は訓練の種類です。
厚生労働省は、給付金の対象となる教育訓練を、そのレベル等に応じて専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類に分けています。一般教育訓練は教育訓練経費の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。
特定一般教育訓練は40%(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。専門実践教育訓練は50%(年間上限40万円)が、訓練受講中に6か月ごとに支給されます。受講中から入ってくるのは専門実践だけです。
1.2 資格を取って就職すると給付率が上がる
ここから上乗せがあります。
専門実践教育訓練では、資格取得等をし、かつ修了日の翌日から1年以内に一般被保険者等として雇用された場合、または雇用されたまま資格取得等をした場合には、教育訓練経費の70%(年間上限56万円)に当たる支給が受けられます。すでに支給を受けた50%分との差額が支払われる形です。
特定一般教育訓練にも同じ仕組みがあり、資格取得等と就職の要件を満たすと50%(上限25万円)になります。ただしどちらも、令和6年10月1日以降に受講を開始した場合に限られます。
1.3 賃金が5%以上上がると80%になる
専門実践にはもう一段あります。
上の追加支給の要件を満たしたうえで、訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合は、教育訓練経費の80%(年間上限64万円)に当たる支給が受けられます。給付は最大3年間受けることができ、その場合の上限は192万円です。
この賃金上昇による追加支給も、令和6年10月1日以降に受講を開始した場合に限られます。それより前に受講を開始している場合は、賃金上昇に係る追加支給はありません。
1.4 雇用保険の加入期間が3年以上。初回は短くなる
誰が受けられるのかも決まっています。
支給対象になるのは、受講開始日に雇用保険に加入していた期間が3年以上ある方です。離職した方の場合は、雇用保険の資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内であり、かつ加入期間が3年以上あることが必要です。
ただし過去に教育訓練給付金を受けたことがなく、初めて教育訓練給付を受給しようとする方については、専門実践なら加入期間が2年以上、特定一般と一般なら1年以上あれば受給可能になります。初めて使う人のほうが条件が緩いということです。
1.5 前回の受給から3年以内は受けられない
繰り返し使うには間隔が必要です。
受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、支給されません。3種類のどれを使った場合も同じ扱いです。
また、支給額が4千円を超えない場合も支給されません。受講料が安い講座では、給付率をかけた額がこの金額に届かないことがあります。
1.6 専門実践と特定一般は受講前の手続きが必須
申し込む前にやることがあります。
専門実践教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金を受けるためには、訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けて、就業の目標や職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードの交付を受ける必要があります。
そのうえで、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きを行わなければなりません。受講を始めてから気づいても間に合わないため、順番を先に確かめておく必要があります。
1.7 申請の期限は種類によって違う
もらうタイミングも分かれます。
一般教育訓練と、特定一般教育訓練の40%分は、訓練修了日の翌日から起算して1か月以内にハローワークへ申請します。専門実践教育訓練の50%分は、受講開始日から6か月ごとの期間の末日から起算して1か月以内(修了日のある期間は修了日の翌日から1か月以内)に、年2回申請します。
追加支給の期限は別です。特定一般の50%分と専門実践の70%分は、資格取得または就職した日のいずれか遅い日から1か月以内、専門実践の80%分は同じ日から1年以内が期限です。期限を過ぎると受け取れないため、カレンダーに入れておくのが確実です。
1.8 離職中なら教育訓練支援給付金もある
受講料とは別に、生活費の側の支えもあります。
ハローワークによると、専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する方で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす方が訓練期間中に失業状態にある場合、雇用保険の基本手当の日額の60%に相当する額が支給されます。これが教育訓練支援給付金です。
ただし令和8年度末までの暫定措置とされています。また令和7年4月1日より前に受講を開始している場合は、基本手当の日額の80%に相当する額です。受給には2か月に1回、ハローワークが指定する認定日に失業の認定を受ける必要があります。
1.9 指定講座は専門実践が3485講座
対象になる講座は公表されています。
厚生労働省が令和8年8月6日に公表した資料によると、専門実践教育訓練の給付対象講座は令和8年10月1日時点で3485講座になります。令和8年10月1日付けの新規指定は138講座で、そのうちオンライン講座が58講座、夜間講座が7講座、土日講座が16講座です。
特定一般教育訓練も同じ日に公表されており、令和8年10月1日時点で1532講座が対象です。新規指定は151講座で、オンライン講座が90講座、夜間講座と土日講座がそれぞれ52講座でした。
実際にどの講座が対象かは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで確認できます。受給資格の有無と講座が指定を受けているかは、ハローワークでの支給要件照会でも確かめられます(電話による照会は受け付けていません)。
なお、単身世帯の年代別の金融資産保有額や調査ごとの前提の違いに関する詳しい解説は、LIMOの記事「独身20代・30代のリアルな貯蓄額を公的調査で確認し、貯金ゼロでも見えてくる家計防衛の視点を整理」および「貯金の平均値約2000万円は実態と違う?中央値1264万円との差や、意外と知らない「押し上げ」の仕組みを総務省データで確認」から一部を引用・参照しています。

