4. ミャクミャクは投票ではなく「公募+選考」。それでも強烈な存在感

大阪・関西万博の「ミャクミャク」は、選ばれ方が少し異なります。

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出所:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

出所:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

2021年に公式キャラクターデザインを一般公募し、1898作品が集まりました。その後、最終候補3作品を選出。一般からも意見を募り、4万704件の意見が寄せられました。

最終的には、こうした意見も参考にしながら選考委員会が最優秀作品を決定しています。

つまり、ミャクミャクは「一般投票で選ばれたキャラクター」ではありません。公募と一般からの意見募集を経て、選考で決定されたキャラクターです。

その後、愛称については一般公募を実施し、「ミャクミャク」に決定しました。

そして2025年の大阪・関西万博終了後も、ミャクミャクは活動を続けています。2026年には全国を巡るイベントなどへの出演が予定されており、万博のレガシーを伝える役割も担っています。

「イベントが終わったらキャラクターも終了」という形にはせず、万博の記憶や理念を引き継ぐ存在として活用している点が特徴です。

5. 25年間の「Suicaのペンギン」は投票なしでブランドの顔に

今回の新キャラクター選挙を考えるうえで、もう一つ興味深いのが「Suicaのペンギン」です。

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Terence Toh Chin Eng/shutterstock.com

Terence Toh Chin Eng/shutterstock.com

Suicaのペンギンは、イラストレーター・絵本作家の坂崎千春氏が手掛け、2001年のSuica導入時からイメージキャラクターを務めてきました。

一般投票で選ばれたキャラクターではありません。それでも25年間にわたってSuicaとともに歩み、カードや駅、グッズなどを通じて広く知られる存在になりました。

JR東日本は2025年11月、Suicaの認知度向上や利用促進に多大な貢献をしたとして、坂崎氏とペンギンに感謝を表明。そのうえで、Suica誕生25周年となる2026年度末をもって卒業し、新キャラクターへバトンタッチすると発表しています。

6. 「みんなで選ぶ」キャラクター、その後を決めるのは?

今回紹介したキャラクターを並べると、選ばれ方も、その後の歩みもさまざまです。

東京2020の「ミライトワ」「ソメイティ」は大会という大きな舞台を終え、レガシーを伝える役割へ。

「つみたてワニーサ」はNISAという継続的な制度の広報を担い、現在も公式キャラクターとして活動しています。

ヤン坊マー坊は、長寿キャラクターそのものを時代に合わせて更新しました。

ミャクミャクは公募と選考で生まれ、万博終了後も活動の場を広げています。

そしてSuicaのペンギンは、投票ではなく起用されたキャラクターながら、25年間にわたってブランドの顔になりました。

こうして見ると、キャラクターが長く親しまれるかどうかを決めるのは、選出方法だけではなさそうです。

重要なのは、そのキャラクターにどんな役割を与え、どれだけ生活者との接点を作り続けられるか。

Suicaの新キャラクターも、11月18日の発表がゴールではありません。

「みんなが選んだ顔」が、2027年4月以降、どのようにSuicaとともに成長していくのか。25年間続いたペンギンからのバトンタッチだけに、選ばれた後の展開にも注目したいところです。

7. トレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

キャラクターの「選挙」は、単純に人気を決めるだけではありません。候補が出そろった瞬間から「どれが好き?」という会話が生まれ、投票することで結果発表まで関心を持ち続けてもらえます。企業やイベントにとっては、キャラクターの誕生そのものを一つのコンテンツにできるわけです。

今回のSuicaでも、SNSでは候補3案をめぐってさまざまな反応が見られます。デザインへの率直な感想や「どれを選ぶ?」という声が飛び交うのは、投票型ならではの現象でしょう。

ただ、今回のSuicaの場合、投票にはもう一つ意味があります。25年間にわたって「Suicaのペンギン」という強いブランド資産を持っていたからこそ、新キャラクターへの交代には「なぜ変えるのか」という説明が必要です。

「次の顔を利用者と一緒に選ぶ」というプロセスは決定までに時間を要します。キャラクターに込められた思いや役割をじっくり浸透させることができるというのも、投票形式にすることのメリットといえます。

参考資料

大蔵 大輔