しかし、現在のように夫婦共働きの家庭が多くないこの年代の妻のほとんどが専業主婦であることから、夫に先立たれて単身になった場合、年金の受給額は夫婦でいた時の6割ほどになることが予想されます。内閣府「高齢者の経済・生活環境に関する調査」を元にしたこのレポートの調査では、夫婦の時よりも生活が苦しくなったと感じている女性の割合が多いという結果が出ています。

現在、適正水準の生活費は、平均余命を元にシュミレーションされており、その試算によると平均寿命により長生きした場合の資産がマイナスに転じるリスクがあります。そのため、今までのように平均余命を前提とする生活資金の設定では、平均寿命の伸びや、それ以上に長生きする可能性があるため、不十分だと考えられます。

では、最最高齢まで考慮した試算をする必要もなく、どうしたらよいのかというと、資産が枯渇するリスクを設定し、そこから適正支出を求めることを提案しています。単身世帯より夫婦の場合の方が、算出は難しくなるとしていますが、金融技術(モンテカルロ法)などを使えば、適正支出の算出は難しくないとされています。

私たちが、将来に備えて考えておかないといけない事とは?

このように、今後私たちがしっかり意識しないといけないのは、適正な支出の大切さです。適正な支出の計算方法が、今の平均寿命などをベースにした計算では不十分であるため、適切な支出の算出方法は可能だけれども、専門家でないと難しいということも同レポートは伝えています。

勤労世代である人たちが適正支出の設定や確認をするためには、将来の生活のために今からいいくら貯蓄をしていかないといけないのかを考える必要があります。しかも、みずほ情報総研の「加速するソロ社会」では、2025年には、6人に1人が単身世帯になることが想定されています。

そのため、個人が自分の適正な支出の把握をして、貯蓄に備えることが将来の生活の不安をなくすことになります。しかし、自分に合った適切な金融アドバイザーを探そうと思うとなかなか大変です。ただ、最近AIなどを使ったロボアドバイザーなどで、自分である程度のリスクや志向を分析できるようになってきています。まだ始まったばかりですが、将来はロボアドバイザーが、今よりももっと進化して誰もが自分の収入に応じた適切な支出を把握できるようになるかもしれません。

まとめ

今から適正水準の生活を把握するためには、収入、支出の把握が必要で、その把握方法は家計簿が基本です。面倒だと思う人は、家計簿アプリなどを取り入れてみてはどうでしょうか。こうしたアプリでは、レシートを撮影するだけで、大まかな支出なども把握できるようになっています。

必要な支出を知ることが、将来の生活を考えるときに、必要な生活費の把握ができるため、将来の計画などを立てやすくすることが出来ます。ちょっとしたことですが、将来の不安が少しでも軽くなれば、日々の生活の気持ちも変わってくるのではないでしょうか。

【参考資料】
資産が枯渇しない生活水準を考える-適正支出に対するアドバイス力強化に期待する」(ニッセイ基礎研究所)
平成28年 高齢者の経済・生活に関する調査」(内閣府)