年金問題や10月から始まった消費税増税などを考えると、今後の私たちの生活は、厳しい状態が続きそうです。しかし、世界的にもこれだけ環境が変化していると、私たちの老後の生活にいくらぐらいの金額が必要で、どういう風に過ごしていけば良いのか容易には想像つきません。
また、老後の資金は多いにこしたことはありませんが、現実には日々の生活で余裕のない生活を送っている人も多いのではないでしょうか。そんな中、金融から暮らしに関わる様々なデータを検証しているニッセイ研究所が、「資産が枯渇しない生活水準を考える」(2019年7月26日)というレポートの中で支出の大切さについて伝えていたので、紹介したいと思います。
ニッセイ基礎研究所のレポートから、支出の大切さを考える
『「資産が枯渇しない生活水準を考える」-適正支出に対するアドバイス力強化に期待する』と題されたこのレポートは、すでに資産を取り崩している人に向けて提案をしているものなのですが、将来、取り崩し段階になった時を今から想定していくことで、今後の生活の計画を考えてみることの一助になると思います。
このレポートでは資産残高に影響する要素として、収入、支出、運用の3つをあげており、高齢者になると、収入、運用が限られるため、支出のコントロールが重要だということを伝えています。
実際、61歳〜70歳の就業実態を調査したところ、「就業意欲はあるけれど仕事はしていない」という人が全体の10%、「就業意欲もなく仕事もしていない」が37%。つまり、残り約半数の人が60歳を超えて70歳まで仕事を続けている状況にあるということがわかります。
一方、上記のように半数弱の人は何らかの事情で仕事をしていません。もちろんその中には、老後に悠々自適の生活を送っている人もいるでしょう。しかし1割の人が、仕事をしたくても何らかの理由で仕事ができない状況であるのも事実。
つまり、将来働き続けようと思っていても、それができない場合があることも考慮しておく必要があるということです。また、そうした場合に備え、支出についても早いうちからしっかりコントロールすることも大切だと言えるでしょう。
年金生活を想定したモデル夫婦の存在を考える
先述のように、このレポートはすでに資産取り崩し段階にある世帯に向けて書かれています。また、夫婦の平均寿命が異なり、女性の方が平均寿命が長いこと、夫に先立たれた後の単身女性の生活などにもふれています。
平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況をベースしたモデル夫婦(夫が70歳であると仮定した時)では、夫が被雇用者であった場合、その年金月額は17万7千円程度※になると想定されます。
※厚生年金保険受給者(男子、65歳以上)の平均年金月額に国民年金受給者の平均年金月額(5万5千円を足した金額程度)