「実家が空き家のままになっている」——そう感じている方は、少なくないのではないでしょうか。
総務省の調査によれば、全国の空き家はすでに900万戸を超え、過去最多を更新しています。
その一方で、2023年に施行された改正空家法により、「特定空家」と呼ばれるボロボロの状態に至らなくても、固定資産税の軽減がなくなるケースが出てきていることは、意外と知られていません。
本記事では、固定資産税が理論上どこまで増えうるのか、年金収入への影響、そして今からできる備えを整理します。
1. 全国900万戸の空き家、所有者の6割超が65歳以上
総務省統計局の「2023年(令和5年)住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は900万2千戸(空き家率13.8%)となり、過去最多を更新しました。2018年の調査からさらに51万3千戸増えています。
なかでも、賃貸・売却用や別荘といった二次的住宅を除いた「使われていない空き家」は385万6千戸(全住宅の5.9%)にのぼり、30年前の1993年(128万8千戸)からおよそ3倍に増加しました。
- 全国の空き家数:900万2千戸(空き家率13.8%、2018年比51万3千戸増)
- 賃貸・売却用等を除く「使われていない空き家」:385万6千戸(5.9%、1993年の128万8千戸から約3倍)
国土交通省が2025年(令和7年)8月に公表した「2024年(令和6年)空き家所有者実態調査」を見ると、空き家を所有することになったきっかけの第1位は「相続」(57.9%)です。所有者の年齢層は65歳以上が65.5%(65〜74歳39.0%、75歳以上26.5%)を占め、年金を受け取る世代が「実家の空き家管理」という重荷を背負っている実態が浮かび上がります。
所有者からは「管理の作業が大変」(31.7%)、「利用予定がなく無駄に感じる」(27.1%)といった悩みも多く挙がっています。
2. 「管理不全空き家」の勧告で固定資産税が最大6倍に
空き家放置に拍車をかけてきたのが、固定資産税の「住宅用地特例」です。住宅が建っている土地は、課税標準額が小規模住宅用地(200㎡以下の部分)で1/6、一般住宅用地(200㎡超の部分)で1/3に軽減されてきました。
しかし2023年(令和5年)12月13日に施行された改正空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律)で、この仕組みが変わりました。従来、軽減が外れるのは「特定空家等」に指定された場合のみでしたが、改正法ではその手前の段階として「管理不全空家等」が新設されています。
特定空家等・管理不全空家等のいずれであっても、軽減が外れるタイミングは共通して「市区町村長から勧告を受けた時点」です。つまり、状態が「特定空家」ほど悪化していなくても、その手前の段階で勧告を受ければ、その時点で軽減の対象から外れてしまいます。
- 小規模住宅用地(200㎡以下):軽減1/6が外れると、理論上最大6倍
- 一般住宅用地(200㎡超):軽減1/3が外れると、理論上最大3倍
- ※この倍率は軽減率から逆算した目安であり、実際の税額は評価額や自治体の運用により異なります
3. 筆者からのコメント
特に見落とされがちなのが、放置を続けて行政代執行(強制的な解体)に至った場合のことです。空家等対策の推進に関する特別措置法第14条第9項・第10項では、行政代執行にかかった費用は所有者(相続人を含む)に請求されると定められています。
「そのうち何とかなるだろう」と放置した結果、数十万円〜数百万円規模の解体費用を後から請求される可能性があるということです。
また、相続人が複数いる場合は、こうした費用の負担割合をめぐって親族間のトラブルに発展するケースも少なくありません。
固定資産税の負担増だけでなく、こうした「最終的な費用負担」のリスクも踏まえて、早めに実家のある市区町村へ相談しておくことをおすすめします。
