「年金の振込額が、通知書の額より少ない気がする」—年金を受け取り始めると、控除欄に並ぶ天引きが気になってくるのではないでしょうか。同じ年金額でも、天引きされる人とされない人がいます。
手取りで家計を組むには、まず天引きのしくみを知ることが役立ちます。はじめに同世代の貯蓄の現在地を平均と中央値で確かめ、そのうえで、年金からの天引きの線引きをみていきましょう。
今回は、70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値を確認し、年金からの「天引き」のしくみをみていきます。
年金は「額面」と「手取り」で違いが出ます。介護保険料や住民税などが天引きされるためで、その線引きには年齢と年金額のルールがあります。まずは仕組みを知り、実際に振り込まれる手取り額を起点に家計を組むことが、毎月の見通しを安定させる近道です。
1. 【70歳代二人以上世帯の平均貯蓄額】中央値はいくらか?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
1.1 70歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 70歳代二人以上世帯:平均2416万円/中央値1178万円
70歳代は平均2416万円・中央値1178万円。2000万円以上が37.5%と高い一方、貯蓄のない世帯も10.9%残ります。平均が中央値を上回り、実感に近いのは中央値のほうです。
年金を受け取りながら、この蓄えを取り崩していく時期です。
70歳代は、年金を受け取りながら、これまでの蓄えを少しずつ取り崩していく時期です。平均は一部の高い世帯に引き上げられるため、同世代の実感に近いのは中央値のほうだと考えておきましょう。次のページでは、年金からの「天引き」のしくみと、額面ではなく手取りで家計を組む考え方を、順にみていきます。
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
くらしとお金の経済メディア『LIMO』編集長/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)
1984年生まれ。東京女子大学哲学科卒業後、2008年に野村證券株式会社に入社。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)を保有し、支店にて国内外株式、債券、投資信託、保険商品などの販売を通じて個人顧客向け資産運用コンサルティング業務に従事し、個人のお金の悩みを解決してきた。特に投資信託や株式、債券などを用い、顧客ニーズにあわせた丁寧でわかりやすい資産運用提案が強み。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』編集長。厚生労働省や金融庁など官公庁の公開情報等をもとに公的年金(厚生年金保険と国民年金)、社会保障制度、貯蓄、教育、キャリアなどをテーマに執筆中。専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも副編集長として記事を執筆している。3児のひとり親で中学・高校社会科(公民)教員免許保有。趣味は音楽鑑賞と読書(2026年6月26日更新)