現在、カメラ市場では一眼レフからミラーレスへの移行が進んでいます。

そんななか、リコーイメージング株式会社が展開する「PENTAX」は、現行のKシリーズを製造終了する一方、新たなデジタル一眼レフカメラの開発を明らかにしました。

市場の変化やPENTAXの歴史を振り返りながら、競合メーカーとは異なる道を選ぶ同社の狙いを考えます。

1. PENTAXの現行一眼レフが製造終了。新コンセプトの商品開発へ

リコーイメージング株式会社は2026年9月9日、「PENTAXデジタル一眼レフカメラは新たなステージを目指す」と発表しました。

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出所:リコーイメージング株式会社

出所:リコーイメージング株式会社

現行のKシリーズデジタル一眼レフカメラは製造を終了しますが、同社は一眼レフの開発を継続します。

現在開発中の新製品は、半世紀以上にわたって積み重ねてきたKマウントレンズの資産を生かせる「全く新たなコンセプトのデジタル一眼レフカメラ」になる予定です。

なお、新製品の登場までには、まだ時間を要する見込みとしています。

また、同社は「写真を撮ることの価値」をあらためて見つめ直し、撮影という行為そのものを楽しめる製品の開発を進めているとも説明。「これからも一眼レフでの撮影スタイルを追求する」としています。

現行モデルを終える一方で、次世代の一眼レフを開発する。今回の発表は、PENTAXが一眼レフ市場から撤退するのではなく、製品世代を切り替える動きといえそうです。

2. 「一眼レフの歴史」とともに歩んできたPENTAX

PENTAXが一眼レフにこだわる背景には、その長い歴史があります。

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出所:リコーイメージング株式会社

出所:リコーイメージング株式会社

前身となる旭光学工業は1919年に創業。眼鏡用レンズの製造からスタートし、映写用レンズや双眼鏡、カメラ用レンズなどへ事業を広げました。

1952年には、国産初の一眼レフカメラ「アサヒフレックスI」を発売。その後も1954年にクイックリターンミラー機構を搭載した「アサヒフレックスIIB」、1957年にはペンタプリズムファインダーを採用した「アサヒペンタックス」を発売しました。

国産初の一眼レフカメラ「アサヒフレックスI」3/3

国産初の一眼レフカメラ「アサヒフレックスI」

出所:リコーイメージング株式会社

1960年には世界初のTTL測光機構を内蔵した一眼レフ「スポットマチック」を発表するなど、一眼レフの発展に関わる製品を送り出しています。

「PENTAX」の名称を冠した最初の製品は1957年発売の「アサヒペンタックス」。1979年発売の「ペンタックスMV-1」から、カメラのブランドとして「ペンタックス」を使用するようになりました。

その後、旭光学工業は2008年にHOYA株式会社と合併。2011年には株式会社リコーがカメラや双眼鏡などのイメージング・システム事業を取得し、現在のリコーイメージング株式会社につながっています。

デジタル時代に入ってからも一眼レフの開発は続き、2003年にはPENTAX初のレンズ交換式デジタル一眼レフ「PENTAX *ist D」、2006年には「PENTAX K100D」、2016年には同社初の35mmフルサイズセンサー搭載機「PENTAX K-1」を発売しました。

PENTAXにとって一眼レフは、長年にわたって積み重ねてきたブランドの中核といえます。

3. 一眼レフ市場はどう変わった? 主役はミラーレスへ

一方、カメラ市場の構造は大きく変化しています。

スマートフォンの普及によって日常的な撮影をスマートフォンで済ませる人が増える一方、レンズ交換式カメラには写真や動画を趣味として楽しむユーザーを中心に一定の需要が残っています。

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、2025年のデジタルカメラ総出荷台数は943万8876台で、前年比11.2%増加しました。

このうちレンズ交換式デジタルカメラは700万1965台で、前年比5.9%増。ミラーレスは631万1054台で、レンズ交換式全体の約9割を占めています。

一眼レフの出荷台数は69万911台で、前年比30.7%減少しました。対してミラーレスは前年比12.5%増加しており、レンズ交換式カメラの主役がミラーレスへ移っていることが数字からも分かります。

この市場環境のなかで、新たな一眼レフの開発を続けるPENTAXは、主要メーカーのなかでも独自のポジションにあります。