9月に入り、日本年金機構から届いた「年金生活者支援給付金」の請求書(はがき)を、内容がよくわからないままそのままにしていないでしょうか。「自分はいくらもらえるのか」「そもそも対象なのか」がはっきりしないと、つい後回しにしてしまいがちです。

この記事では、老齢年金生活者支援給付金の給付額の目安、支給要件、請求手続きの流れを整理したうえで、所得がわずかに基準額を超えてしまう人向けの「補足的老齢年金生活者支援給付金」についても、具体的なケースをもとに詳しく見ていきます。

1. 老齢年金生活者支援給付金、給付基準額と給付額の目安

老齢年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入や所得が一定基準以下の年金受給者に、年金に上乗せするかたちで支給される給付金です。令和8年度の給付基準額(月額)は5620円で、前年度から物価の変動を踏まえて引き上げられています。

1.1 実際の給付額は、保険料納付済期間と保険料免除期間の組み合わせで決まる

もっとも、基準額の5620円がそのまま全員に支給されるわけではありません。実際の給付額は、①保険料納付済期間分=5620円×保険料納付済期間÷480月、②保険料免除期間分=免除用基準額×保険料免除期間÷480月、の2つを合計して計算されます。免除用基準額は、全額・4分の3・半額免除の場合が1万1768円、4分の1免除の場合が5884円で、いずれも納付済期間用の基準額(5620円)より高く設定されています。そのため、保険料納付済期間だけでなく全額免除期間がどれだけあるかによって、月額は大きく変わります。

老齢年金生活者支援給付金の給付額の目安(保険料納付済月数×全額免除月数の組み合わせ別)1/5

老齢年金生活者支援給付金の給付額の目安を保険料納付済月数と全額免除月数の組み合わせ別に示した表。480月納付・免除0月で5620円、360月納付・120月免除で7157円、240月納付・240月免除で8694円、120月納付・360月免除で1万231円、0月納付・480月免除で1万1768円など、全額免除の割合が高いほど月額が基準額(5620円)を上回っていく10パターンを掲載

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をもとにLIMO編集部が試算

上図のとおり、保険料納付済期間のみで480月(40年)を満たすケースでは月額5620円ですが、同じ480月のなかに全額免除期間が含まれていると、月額は5620円を上回っていきます。これは、全額免除期間分の計算に使う基準額(1万1768円)が、納付済期間分の基準額(5620円)よりも高いためです。極端な例では、480月すべてが全額免除期間だった場合、月額は1万1768円となり、納付のみで480月を満たした場合のおよそ2.1倍になります。「納付済期間が短い=給付額が少ない」とは限らない点に注意が必要です。なお、4分の1免除期間がある場合は、その期間分だけ基準額が5884円に変わります。ご自身の正確な納付済期間・免除期間は、年金証書や年金額改定通知書などで確認できます。

2. 対象となるのはどんな人?支給要件を確認

老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、次のすべての要件を満たす人です。厚生労働省の解説ページでも、この3つの要件が示されています。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/5

老齢年金生活者支援給付金の支給要件を示す図。65歳以上の老齢基礎年金受給者、同一世帯の全員が市町村民税非課税、所得基準額は昭和31年4月2日以後生まれで82万6500円以下、昭和31年4月1日以前生まれで82万4100円以下

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

65歳以上で老齢基礎年金を受け取っており、同一世帯の全員が市町村民税非課税であることに加え、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が、生年月日に応じた基準額以下であることが必要です。

2.1 ギリギリ基準額を超えてしまう人も、あきらめる必要はない

ここで見落とされがちなのが、所得が基準額をわずかに超えてしまった場合の扱いです。所得基準額を少し超えただけで給付が「ゼロ」になってしまうと、基準額の前後で手取り収入が逆転してしまうことになりかねません。そこで設けられているのが「補足的老齢年金生活者支援給付金」で、所得基準額を超えても、昭和31年4月2日以後生まれの人は92万6500円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人は92万4100円以下であれば、減額されたかたちで給付を受けられます。

具体的にどのくらいの金額になるのか、モデルケースで確認してみましょう。

「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象になるケース例3/5

Aさん(68歳、保険料納付済期間480月)が年金収入のみで年間84万円の場合、本来の老齢年金生活者支援給付金の所得基準額82万6500円を超えるため対象外となるが、補足的老齢年金生活者支援給付金の上限92万6500円以下のため月額4861円を受給できるケースを示す図

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をもとにLIMO編集部が試算

68歳のAさんは、収入が老齢年金のみで、月額7万円(年間84万円)を受け取っています。保険料納付済期間は480月(40年)です。この場合、84万円は所得基準額の82万6500円を上回っているため、本来の老齢年金生活者支援給付金の対象にはなりません。しかし、補足的老齢年金生活者支援給付金の上限額である92万6500円以下には収まっているため、「(92万6500円-84万円)÷10万円=0.865」という調整支給率を、納付済期間分の給付額(5620円)に掛け合わせた月額4861円を受け取ることができます。

このように、所得が基準額をわずかに超えたからといって、給付が一気にゼロになるわけではありません。「うちは対象外だろう」と思い込んで確認すらしていないと、本来受け取れるはずの給付金を取りこぼしてしまう可能性があります。前年の所得が基準額に近い人ほど、あきらめずに一度、実際の所得額と照らし合わせてみることをおすすめします。

和田 直子

「所得基準額を少し超えているから対象外」と自己判断してしまう方は少なくありませんが、補足的老齢年金生活者支援給付金の存在を知らないまま、本来受け取れる給付金をあきらめてしまうのはもったいないことです。前年の所得が基準額の前後にある方は、日本年金機構のねんきんダイヤルや年金事務所で、一度ご自身の所得額と照らし合わせて確認してみることをおすすめします。