年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される制度です。毎年9月には、新たに対象となった方へ請求書が入った緑の封筒が順次届きます。

制度としてよく知られているのは老齢年金生活者支援給付金ですが、実際には4種類あります。厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、受け取っているのは合わせて「781万9978件」です。

ただ、平均給付金額は種類ごとに違います。老齢年金生活者支援給付金は月4146円で、令和8年度の基準額である月5620円を下回っています。

この記事では、4種類の件数と平均給付金額を確認したうえで、老齢の給付額がどう計算されるのかまで見ていきます。

1. 「年金生活者支援給付金」を受け取っているのは781万9978件。4種類ある

まず、この給付金がどのくらいの規模で使われているのかを確認します。

参照するのは厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で、令和7年3月において認定されている件数と金額です。

1.1 最も多いのは老齢年金生活者支援給付金の450万4441件

4種類の内訳を見ると、老齢年金生活者支援給付金が450万4441件で最も多く、次に障害年金生活者支援給付金が217万7166件です。

補足的老齢年金生活者支援給付金は106万664件、遺族年金生活者支援給付金は7万7707件でした。

1.2 月額の総額は338億5700万円

4種類を合わせた件数は781万9978件で、給付金総額は月額で338億5700万円です。

種類別では、老齢が186億7400万円、障害が124億6800万円、補足的老齢が23億900万円、遺族が4億600万円となっています。

年金生活者支援給付金は4種類あり、件数と平均給付金額はそれぞれ違う(令和7年3月)1/2

年金生活者支援給付金4種類の件数・給付金総額・平均給付金額を並べた表

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

1.3 補足的老齢は所得に応じて減額される仕組み

補足的老齢年金生活者支援給付金は、所得が基準額をわずかに超えて対象外となる方への調整として設けられているものです。

所得が増えるにつれて給付額は減る設計になっていますので、老齢年金生活者支援給付金より平均が低くなります。

2. 「年金生活者支援給付金」平均給付金額は種類ごとに違う。老齢は月4146円

次に、1件あたりの平均給付金額を見ていきましょう。

同じ資料には、令和7年3月において認定されている支給分に係る平均給付金額(月額)が載っています。

2.1 老齢4146円、障害5727円、遺族5228円

平均給付金額は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、補足的老齢年金生活者支援給付金が2177円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円です。

件数が最も多い老齢が、4種類のなかでは補足的老齢に次いで低い水準になっています。

2.2 令和8年度の基準額は月5620円

令和8年度の給付基準額は、老齢年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金が月5620円です。障害年金生活者支援給付金は1級が7025円、2級が5620円になります。

この基準額どおりに受け取れる場合、2か月分で1万1240円、年額では6万7440円が年金に上乗せされます。

2.3 老齢の平均が基準額を下回る理由

老齢年金生活者支援給付金は、基準額がそのまま支給される仕組みではありません。保険料を納めた期間などに応じて計算されます。

そのため、国民年金に加入していなかった期間や未納の期間がある方は、基準額より低い額になります。平均が4146円にとどまっているのは、この計算のしかたによるものです。

3. 「年金生活者支援給付金」老齢の給付額は期間で決まる。免除期間には別の単価がある

最後に、老齢年金生活者支援給付金の計算のしかたを確認します。

給付額は、保険料納付済期間から計算する分と、保険料免除期間から計算する分を足し合わせたものです。

3.1 納付済期間分は5620円を480か月で割って計算する

保険料納付済期間から計算する分は、5620円に保険料納付済期間の月数を掛け、480で割った額です。

480か月は40年にあたります。40年すべて納めた方であれば、この部分だけで月5620円になります。

3.2 免除期間分の単価は1万1768円

保険料免除期間から計算する分は、別の単価が使われます。全額免除・4分の3免除・半額免除の期間は1万1768円、4分の1免除の期間は5884円に、それぞれの月数を掛けて480で割ります。

老齢年金生活者支援給付金は、期間の種類ごとに違う単価で計算される(令和8年度)2/2

老齢年金生活者支援給付金の計算に使う期間の種類別の月額単価を並べた表

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとにLIMO編集部作成

なお図の金額は昭和31年4月2日以後に生まれた方のもので、昭和31年4月1日以前に生まれた方は免除期間分が1万1734円、4分の1免除の期間が5867円になります。

3.3 免除期間があると給付額が下がるわけではない

ここで押さえておきたいのは、免除期間分の単価が納付済期間分より高いという点です。1万1768円は5620円の約2倍にあたります。

保険料の免除を受けていた期間があると給付額が抑えられる、と受け取られることがありますが、この計算では逆に押し上げる方向に働きます。

平均が基準額を下回る主な理由は、納付済期間と免除期間を合わせても480か月に届かない場合があることです。免除を受けていたこと自体が理由ではありません。

中本 智恵
銀行員だった頃、年金の受取口座の通帳を見る場面がありました。「年金だけでは心もとないけれど、他にどんな支援があるのか分からない」という声を聞くこともありました。給付金は年金とは別の入金として記録されますので、通帳では2つの行に分かれて載ります。合計してから見てみてください。