金融庁がKPIなる数字で、各販売会社で販売している投資信託の収益性を公表しています。少々古いデータで恐縮ですが、このデータを読み解いて、投資信託が儲かっているのかどうか見ていきましょう。
ちなみに、KPIはKey Performance Indicatorの略で、金融用語というよりもマーケティング用語です。要するに目標達成のための定量指標です。
投資信託の収益率で言えば、たとえばKPIが年間5%リターンとすると、このKPIを上回っている投資信託は何本(または、全体の何%)、下回っている本数は何本といった、達成度合いの“見える化”を図っているものです。
投資信託の運用損益別顧客比率とは?
図表1は、さまざまな角度で分析しているデータの一つですが、正直、見るからに難解です。金融庁の努力はよく分かるのですが、これを一般の方々に伝えるには“翻訳”が必要です。 ということで、翻訳にトライです。
まず、運用損益別顧客比率の意味ですが、これは次のようになります。
− 調査に回答した銀行(メガ銀行・地銀)の顧客が何%のリターンを上げているか
(基準日は2018年3月末ですが、基準日から過去何年かのリターンかは明示されていない)
− リターン別の顧客比率は何%なのか
結果を紐解くと、約46%の投資家のリターンがマイナス(損失)となっています。プラスリターンは54%ですね。それぞれリターン幅は異なりますが、プラスかマイナスかで計測すれば、ほぼプラスマイナス五分五分だったということです。
投資信託の比較を100m走の桐生選手とマラソンの川内選手に例えてみる
さて、この結果をどう判断するかです。
実は投資信託に限らず、金融商品の顧客個別リターンの計測には困難が伴います。それは次の理由によります。