4. 家計・貯蓄の中で「趣味・習い事」はどのくらいの位置づけか

続いて、習い事にかけるお金を家計全体の中でどう位置づければよいかを見ていきます。

まず貯蓄の状況です。総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」(2025年平均、二人以上の世帯)によると、世帯主が65歳以上の無職世帯(高齢無職世帯)の貯蓄現在高は平均2494万円となっています。

【表】高齢無職世帯の貯蓄現在高(前年との比較)3/3

高齢無職世帯の貯蓄現在高(前年との比較)

出所:総務省統計局「家計調査 家計収支編」をもとにLIMO編集部作成

ただし前年からは66万円(2.6%)減少しており、6年ぶりの減少です。物価上昇に年金の伸びが追いつかず、預貯金を取り崩す動きが出ている可能性がうかがえます。

総務省「家計調査」(2025年平均)によると、高齢夫婦のみの無職世帯(世帯主65歳以上)の消費支出は月26万4000円程度、高齢単身無職世帯では月14万8000円程度となっています。

一方、同じ「家計調査」の年齢階級別データ(二人以上の世帯、2025年計)で「教養娯楽費」を見ると、65歳以上の世帯では月換算で2万8000円台となっており、60歳代に限れば3万7000円台まで上がります。

教養娯楽費だけで消費支出全体の1割前後を占める計算になり、習い事はその教養娯楽費の中の一部という位置づけです。

なお、消費支出の数字は「高齢夫婦のみ無職世帯」、教養娯楽費の数字は「二人以上の世帯・65歳以上」を対象にしたもので、集計対象の世帯類型が完全には一致していません。自分の世帯に近い条件で厳密に比較したい場合は、総務省統計局のデータを世帯類型をそろえて確認することをおすすめします。

5. 貯蓄と両立させるための考え方

では、月謝を貯蓄と両立させるにはどう考えればよいのでしょうか。ポイントは3つです。

1つ目は、「平均額」や「他の人の相場」をそのまま目標にしないことです。シニアの6割が月1万円以上を趣味・活動に使っているというデータを紹介しましたが、これは裏を返せば4割は月1万円未満に収めているということでもあります。60歳代の教養娯楽費が高めに出るのも、現役を退いたばかりで時間的な余裕ができ、旅行やスポーツにお金をかけやすい時期だからだと考えられます。年齢や体力、収入の変化に合わせて、予算は自分なりに変わっていくのが自然です。

2つ目は、月謝以外にかかる費用も含めて予算を考えることです。入会金や教材費、発表会費などが別途かかるジャンルもあり、月謝の数字だけで判断すると想定より支出がふくらむことがあります。

3つ目は、複数のジャンルを同時に始めないことです。1つずつ体験してから本格的に始めることで、月謝が重なって家計を圧迫する事態を避けやすくなります。

6. まとめにかえて|月謝は「相場」より「自分の家計に合うか」で選ぶ

習い事の月謝は、ジャンルや調査対象によって大きな開きがあります。

「平均でいくらかけているか」という数字だけでなく、自分の家計の中で教養娯楽費にどれくらいの余裕があるかを先に確認したうえで、無理のない金額のジャンルを選ぶことが、貯蓄を減らさずに習い事を続けるための近道です。

気になる教室があれば、まずは体験レッスンや単発講座に参加し、月謝以外にかかる費用も含めて「続けられる金額感」かどうかを確かめてみてはいかがでしょうか。

先述のハルメクホールディングスの調査にあるように、投資の目的として「趣味・旅行の原資づくり」を挙げる声が目立つように、趣味や習い事にかけるお金を、貯蓄を切り崩す形ではなく計画的に準備した原資でまかなうという発想も、今後ますます広がっていきそうです。

熊谷 良子

「月謝が安いから」という理由だけで教室を選ぶと、思わぬところでつまずくことがあります。

特に見落とされやすいのが、月謝以外の費用です。入会時の道具一式や、年に数回の教材費、発表会や展示会への出品料などは、月謝の請求書には表れないことが多く、始めてから「思ったよりお金がかかる」と感じる原因になりがちです。

体験レッスンの段階で、月謝以外にどんな費用がどのタイミングでかかるのかを教室に確認しておくと、後から家計が想定外にふくらむのを防ぎやすくなります。

特に発表会や展示会は「出席が必須ではない」教室も多いので、参加を前提にした費用なのか任意なのかを最初に確認しておくと安心です。貯蓄を計画的に取り崩さないためにも、始める前のひと手間を大切にしてください。小さな確認の積み重ねが、後々の家計の安心につながります。

参考資料