4. 内縁関係で遺族年金を受け取るときの注意点

内縁関係でも遺族年金を受け取れる可能性がある一方で、婚姻届を出している場合にはない注意点もあります。

4.1 事実婚関係・生計同一関係を証明する書類が必要

先述のとおり、内縁関係にある配偶者が遺族年金を請求する場合は「事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書」を提出し、第三者による証明を受ける必要があります。同居していた期間の住民票、公共料金の請求書や領収書、健康保険の被扶養者としての記録など、生活を共にしていたことを示す書類をできるだけ多く用意しておくことが、スムーズな認定につながります。

婚姻届ありの配偶者と内縁関係(事実婚)の配偶者の違い2/2

婚姻届ありの配偶者と内縁関係(事実婚)の配偶者の違い

出所:日本年金機構「生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき」などをもとに編集部作成

4.2 戸籍上の配偶者がいる場合は取り扱いが複雑になる

亡くなった人に戸籍上の配偶者がいながら、別に内縁関係にあるパートナーがいた場合(いわゆる重婚的内縁関係)は、判断がより複雑になります。一般的には、戸籍上の婚姻関係が形式的に残っているだけで、実質的に夫婦の関係が破綻し別居状態が続いているなどの事情が認められれば、内縁関係にあった側が「配偶者」として遺族年金の対象になることもあります。こうしたケースに該当するかどうかは個別の事情によって判断が分かれるため、早めに年金事務所へ相談することが欠かせません。

4.3 遺族基礎年金は「子のある配偶者」等に限られる

遺族厚生年金は幅広い遺族が対象になり得る一方、遺族基礎年金を受け取れるのは、原則として「子のある配偶者」または「子」に限られます。内縁関係のパートナーの場合も、この点は婚姻届を出している配偶者と同じ扱いです。子がいない場合は遺族基礎年金の対象外となり、遺族厚生年金のみの受給となる点も押さえておきましょう。

和田直子
特にお子様がいる事実婚カップルの場合、パートナー(男性)がお子様を『認知』していることが遺族年金の受給に必須となります。認知がないと、法律上は『父親がいない子』と扱われ、子どもを理由とする遺族年金の受給権を失ってしまうため、必ず生前に確認しておきたい最重要ポイントです。

5. まとめ

厚生年金保険法・国民年金法上、遺族年金の「配偶者」には、婚姻届を出していない内縁関係(事実婚)のパートナーも含まれます。遺族厚生年金の平均月額は8万4228円、遺族基礎年金の平均月額は8万8917円(いずれも令和6年度末現在)となっていますが、実際の受給額は納付状況などによって異なります。

ただし、内縁関係の場合は、戸籍のように公的な記録で婚姻関係を証明できないため、生活実態を裏付ける書類の準備や、第三者による証明が必要になります。戸籍上の配偶者が別にいる場合は判断がより複雑になることもあるため、心当たりのある人は早めに年金事務所へ相談しておくと安心です。

参考資料

和田 直子