iDeCo(イデコ)の改正法が2025年に成立し、新しいルールが順次施行されています。2026年12月には、拠出金の上限が大きく引き上げられる見通しです。
拠出可能額の引き上げは、iDeCoのメリットを強化するものですが、どう変わるのか、うまく整理できていない人もいるかもしれません。
筆者はIFAとして顧客の資産運用を支援していますが、iDeCoはNISA(ニーサ)と並び、活用を前提に提案しています。どちらも運用益が非課税となる一方、iDeCoは引き出しに制限があるため、老後資金を着実に準備したいというニーズに合致します。
iDeCoは拠出可能額が低いという課題感がありましたが、今回の改正はそれを緩和するものです。給与などの手取りを増やす効果が高まるため、今後は活用する人がさらに増えそうです。
iDeCoの新しいルールについて、iDeCoが持つ3つの税制メリットと合わせて確認しましょう。
1. iDeCo歴10年で「資産1000万円達成」筆者が語る運用のポイントとは
iDeCoを長期で継続した場合の資産形成のイメージとして、筆者の運用状況を一つの参考として紹介します。2016年からiDeCoを開始し、ブレクジットやコロナショックなどの市場の変動に見舞われたものの、長期的な視点で継続した結果、現在では掛金に対する評価額が約2.3倍に成長し、運用資産は1000万円を突破しています。
著者のiDeCo資産状況1/6
出所:著者作成
運用にあたり、一般的に以下のような考え方が参考になります。
1.1 運用期間が長期の場合、リスク許容度は高めに取りやすい
iDeCoの開始当初、目標とした受取年齢まで30年以上の期間がありました。「運用期間が長いほど取れるリスクは高くなる」というセオリーに基づき、ポートフォリオの大部分は株式を中心に据える方針を取りました。一般的に、運用期間が長いほど短期的な価格変動のブレを吸収しやすくなるため、リターンを狙う株式の比率を高めやすくなります。
1.2 株式だけでなく、異なる値動きをする資産への「分散」
現在のポートフォリオの過半は米国株式、次いで日本株式としていますが、一部に金(ゴールド)を取り入れています。分散投資の観点から株式以外の資産も組み入れたいと考えたものの、代表的な安全資産である債券は値動きが小さく、「ある程度リスクを取ってリターンを狙う」という方針には沿いませんでした。そこで、株式とは異なる値動きをする傾向があり、一定の変動幅も期待できる金を採用し、リスク分散を図っています。
【※ご注意】
上記はあくまで筆者個人の運用事例および見解であり、特定の運用手法や金融商品の購入を推奨するものではありません。適切なポートフォリオは個人のライフプランやリスク許容度によって異なりますので、ご自身の状況に合わせてご判断ください。
2. 2026年12月施行!iDeCoの「掛金上限」引き上げで何が変わる?
本題に移りましょう。iDeCoは掛金を積み立てておき、原則として60歳以降に受け取れる制度です。2026年12月からは、拠出できる掛金の上限が引き上げられることとなりました。変更点を解説します。
2.1 会社員の拠出限度額が最大月2.3万円から月6.2万円へ引き上げ
iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額の引き上げ(2026年12月1日施行予定)2/6
出所:厚生労働省「2025年の制度改正」
12月から始まる拠出金の引き上げ内容は次のとおりです。会社員や公務員の現在の拠出可能額は月に2.3万円ですが、新制度では6.2万円に引き上げられることとなります。
【拠出限度額の引き上げ(2026年12月~)】
- 自営業:月6.8万円→月7.5万円
- 会社員・公務員(企業年金あり):月2.0万円→月6.2万円
- 会社員・公務員(企業年金なし):月2.3万円→月6.2万円
- 会社員・公務員の専業主婦・夫:月2.3万円(変更なし)
- 新設された第5号被保険者:月6.2万円
※自営業は国民年金基金等との合計額、会社員・公務員(企業年金あり)は企業年金等との合計額
※第5号被保険者…60歳以上70歳未満の国民年金被保険者以外の者で、iDeCoを活用した老後の資産形成を継続しようとする者
2.2 3つの税制メリットをおさらい!「拠出メリット」で手取りがアップする仕組み
- 所得控除額が最大27.6万円から74.4万円に拡大
- 税率20%なら手取りは5.52万円アップ→14.88万円アップに
iDeCoは拠出時・運用時・受取時の3つのメリットがあります。今回の拠出限度額の引き上げは、拠出時のメリットである所得控除が強化される構図です。
- 拠出メリット:拠出金の全額が所得控除
- 運用メリット:運用益が非課税
- 受取メリット:受取金は「退職所得控除」または「公的年金等控除」の対象
iDeCoは老後資産の形成を支援する貯蓄制度であり、拠出金は、あとで受け取れる自身のお金です。家計の収支(フロー)には負荷がありますが、資産(ストック)は積み上がるため、消費のように失われるお金ではありません。
iDeCoは生活費を削って消費するのではなく、「自分の未来の資産」を育てながら現在の税金の負担軽減にもつながる非常に合理的な制度です。
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象です。会社員が満額を拠出した場合、所得控除額は現行(月2.3万円)だと27.6万円ですが、新制度(月6.2万円)では74.4万円まで増加します。
仮に所得税および住民税の税率を20%とすれば、手取りの年間増加額は現行が5.52万円、新制度では14.88万円となります。
