「餃子の王将」の名前で親しまれる中華料理チェーンを展開する王将フードサービス<9936>の株価は10日、前日比2円安(▲0.07%)の2,943円で取引を終えました。足元は3,000円前後でもみ合う値動きが続いています。

個人投資家の関心が今、徐々に集まりつつあるのが、9月末を権利確定日(基準日)とする株主優待や配当の存在です。

3月期決算の企業は中間期にあたる9月末に配当や株主優待の権利が確定する銘柄が多く、王将フードサービスもその代表格の一つ。

しかも同社は6月11日、この9月末の基準日から株主優待制度を拡充・電子化すると発表済みで、今回が新制度の適用第1弾にあたります。

今回は最新決算をひも解きながら、9月末に向けて知っておきたい株主優待の変更点を見ていきます。

1. 最新決算からひも解く企業の強み

王将フードサービスが7月31日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月~6月)の連結決算は、売上高282億1,400万円(前年同期比4.9%減)、営業利益14億1,500万円(同52.8%減)、経常利益16億800万円(同48.4%減)、四半期純利益9億8,800万円(同53.7%減)と、減収減益になりました。

減収の背景には「前年同期のメディア露出(テレビ番組等)の反動」と「デリバリー需要の落ち着き」、さらに物価高騰の長期化による消費者の節約志向の高まりがあるとされています。前年の第1四半期はテレビ番組等での露出により大きく売上を伸ばした反動が出た形です。加えて、人件費や原材料価格の高騰、包材費・店舗建築費の上昇など各種コストの上昇が重なったことが、大幅な減益につながりました。

一方で、通期の業績計画には修正がなく、売上高1,213億5,700万円(前期比3.9%増)、営業利益109億5,100万円(同5.2%増)、経常利益110億3,600万円(同3.1%増)を計画したまま据え置いています。

なお、純利益は70億9,600万円(同5.0%減)を見込んでいますが、これは税制改正による法人税等の増加を織り込んだためで、増収増益計画の中で純利益だけが減益予想になっている点には留意が必要です。

ただし、通期計画に対する1Qの進捗率を見ると、売上高は23.2%である一方、営業利益は12.9%、経常利益は14.6%、純利益は13.9%にとどまっています。四半期ごとに均等なペースで進捗すれば25%程度が目安になるなか、利益面の進捗はやや遅れており、第2四半期以降でコスト上昇分を吸収しながら計画通りのペースに戻せるかが焦点になりそうです。

2. 直営店主導型の構造が明確、売上の9割超を占める中華レストラン事業

外食チェーンにはフランチャイズ(FC)主体で店舗網を広げる企業も多いなか、王将フードサービスは「餃子の王将」を展開する直営レストランチェーンの運営と、フランチャイズ加盟店向けの中華食材等の販売を行う中華事業の単一セグメントで構成されており、直近の本決算(2026年3月期、5月15日発表)の販売実績を見ると、直営店が売上の9割超を占める直営主導型の構造がはっきり分かります。

  • 直営店(551店):売上高1,071億5,900万円(全体の91.7%)
  • フランチャイズ加盟店向け(177店):売上高96億7,900万円(同8.3%)

2026年3月期の直営店売上は、既存店の客数・客単価の底上げに加え、亀戸店(東京都)、阪神尼崎店(兵庫県)、BLiX茅ヶ崎店(神奈川県)といった新規出店が寄与し、前年同期比5.2%増となりました。

同社は中期経営計画で「1,000店舗達成」を掲げ、なかでも首都圏を含む東日本エリアでの出店拡大を人材採用・教育の両面から後押しする方針で、5月には東京都中央区に調理技術と教育の拠点となる「調理道場」を新設するなど、直営店の成長を支える投資を積極化させています。

直近の月次データにも、この底堅さが表れています。1日に公表された8月度の月次売上高(速報版)によると、直営全店売上高は95億1,700万円(前年同月+0.1%)となり、7月に続き8月も同月として過去最高を更新しました。

既存店売上高は93億7,600万円(同▲0.3%)とわずかに前年を下回ったものの、客数減(同▲1.5%)を客単価の伸び(同+1.6%)が補う形です。第1四半期(4〜6月)は月次ベースでも前年割れが続いていましたが、7月・8月と2カ月連続でプラスに転じており、直営店を軸にした収益基盤の底堅さがうかがえます。

なお、よく似た名前の「大阪王将」を運営しているのはイートアンドホールディングスで、王将フードサービスとは異なる会社です。