2025年6月13日、第217回通常国会において「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立しました。厚生労働省の発表によると、2028年4月の施行に向けて遺族年金の仕組みが大きく見直される予定です。中でも子育て世帯にとって関心が高いのが、遺族基礎年金(生計維持者が亡くなった際に支給される年金)における「こどもがいる場合の加算額」の増額です。
万が一の事態が発生した際、残された家族の暮らしを支える公的保障について、日頃から正確に把握できている人は決して多くありません。
一部の報道では受給期間の見直しなど特定の話題ばかりが目立ちますが、実際には子育て世帯に対する手厚い配慮も含まれています。今回は厚生労働省や日本年金機構の一次データをもとに、見直しの内容と家計への影響、今から確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
1. 遺族基礎年金の子の加算額が年間28万円へ!主な改定点と増額のインパクト
まず、増額される部分から見ていきます。
1.1 約23万5000円から28万円へ
厚生労働省によると、遺族厚生年金の見直しにあわせて、遺族基礎年金の「こどもがいる場合の加算額」が増額されます。年間約23万5000円から28万円になるとされています。
差は年間で約4万5000円です。月あたりにすると約3750円になります。
1.2 いまの加算額は1人目と2人目が各24万3800円
日本年金機構によると、令和8年4月分からの遺族基礎年金の子の加算額は、1人目および2人目の子が各24万3800円、3人目以降の子が各8万1300円です。
厚生労働省が示している「年間約23万5000円」は、この加算額の水準を指したものです。見直し後は28万円になります。
1.3 子2人なら加算額だけで56万円になる計算
加算額が28万円になると、子が2人いる場合は加算額だけで56万円です。現在の水準である約23万5000円が2人分なら約47万円ですので、9万円ほど増えることになります。
なお現行の加算額は1人目と2人目が各24万3800円で、2人分では48万7600円です。厚生労働省が示す約23万5000円という数字と、日本年金機構が公表している令和8年4月分の額には開きがあります。
2. 2つの数字に開きがあるのはなぜか
ここは読むときに気をつけたい点です。
2.1 年度が違う
厚生労働省のページは令和7年6月30日に内容が更新されたもので、そこに示された約23万5000円は更新時点の水準です。日本年金機構が公表している24万3800円は令和8年4月分からの額です。
年金額は毎年度改定されますので、2つの数字は別の年度のものになります。増額幅を測るときは、同じ年度どうしで比べる必要があります。
2.2 28万円という見直し後の額も現時点の見込み
見直し後の28万円も、法律が成立した時点で示された水準です。施行は2028年4月の予定ですので、それまでに年度ごとの改定が入ります。
実際に受け取る額は施行時の水準で決まります。いまの時点では「約4万5000円ほど増える方向」という幅で受け止めておくのが正確です。
3. 18歳年度末までは現行維持!子どもがいる世帯への影響と配慮措置
次に、見直しの影響を受ける範囲を確認します。
3.1 18歳年度末までは変わらない
厚生労働省は、18歳年度末までのこどもがいる場合、こどもが18歳年度末になるまでは現行制度と同じであり、見直しの影響はありませんとしています。
5年で打ち切りという話は、この期間には当てはまりません。
3.2 子どもが18歳になったあとは5年間の対象になる
こどもが18歳になった後については、さらに5年間、増額された有期給付と継続給付の対象となるとされています。
子どもが18歳年度末を迎えた時点で終わるのではなく、そこから5年間の給付が続く形です。
見直しは減る話ばかりが伝わりがちですが、増える部分もあわせて見ておくと、家計の見通しが立てやすくなります。
