2026年9月1日、日本年金機構から新たに「年金生活者支援給付金」の対象となる方へ請求書の送付が始まりました。

公的年金の受給額には大きな個人差があり、年金やその他の所得が一定基準を下回る場合に、この上乗せ給付を受け取ることができます。

請求書の提出期限は9月30日(請求書に記載)とされていますが、万が一遅れても令和9年1月4日までに日本年金機構へ届けば、10月分からさかのぼって支給されます。ただし、令和9年1月4日を過ぎると「書類が到着した翌月分」からの支給となり、過去の給付金を受け取れなくなってしまうため注意が必要です。

この記事では、年金受給額の実態から、年金生活者支援給付金の支給要件・給付額、そして保険料の納付状況によって給付額がどのように変わるのかまで、順番に確認していきましょう。

1. 年金の受給額、実は大きな個人差がある

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、公的年金の平均受給月額は、国民年金(老齢基礎年金)が5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)が15万円台となっています。

国民年金の平均月額(男女全体・男女計)1/6

国民年金の平均月額(男女全体・男女計)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)2/6

厚生年金の平均月額(男女全体・男女計)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

ただし上のグラフからもわかるとおり、実際の受給額は一律ではありません。厚生年金だけで月30万円以上を受け取っている人がいる一方、国民年金・厚生年金いずれも月3万円に満たない人もいるなど、受給額の分布には大きな幅があります。

年金やその他の所得を合計しても一定の基準を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」という上乗せ給付を受け取れる可能性があります。

和田直子
「年金は人それぞれ」ですが、実際にグラフで分布を見ると、その幅の大きさに驚く方も多いのではないでしょうか。受給額が少ない層には、年金生活者支援給付金の対象になる人が一定数含まれています。「自分には関係ない」と思い込まず、まずはご自身の受給額と所得状況を確認してみることをおすすめします。

2. 年金生活者支援給付金でいくら上乗せされる?

年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定基準に満たない年金受給者を支えるために、2019年に始まった制度です。公的年金と同じく2カ月に一度、年金に上乗せする形で支給されます。

受け取っている年金の種類に応じて、給付金は次の3種類に分かれており、それぞれ支給要件と支給額(基準額)が個別に定められています。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

2.1 【2025年度→2026年度】基準額はどう変わったか

2026年度(令和8年度)の給付金額は、前年度と比べて3.2%引き上げられています。

【2026年度】

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

このうち老齢年金生活者支援給付金は、この基準額をもとに保険料納付済期間などに応じて実際の支給額が個別に計算される仕組みになっています(詳しい計算方法は後の章で試算します)。

ここで示した金額はすべて「月額」です。実際の支給は2カ月分をまとめて年金に上乗せする形で行われるため、基準額どおりに受給できるケースでは、1回の支給額は約1万1000円、年間では約6万7000円になります。

なお「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、2025年3月時点における平均給付月額(※)として、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円と公表されています。

※2025年3月において認定されている平均給付金額です。

3. 「年金生活者支援給付金」を受け取れるのはどんな人?

年金生活者支援給付金、3種類の支給要件比較4/6

老齢年金生活者支援給付金・障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金の支給要件を一覧比較した表

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をもとにLIMO編集部作成

ここからは、年金生活者支援給付金を受け取るための具体的な要件を確認していきます。

3.1 「障害」「遺族」年金生活者支援給付金の対象になる人

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、対応する年金(障害基礎年金または遺族基礎年金)を受け取っていて、前年の所得が491万8000円以下である人が対象です。

判定に使う所得には、障害年金や遺族年金といった非課税の収入は含まれません。扶養している親族の数が多いほど、所得の基準額も引き上げられます。

一方「老齢年金生活者支援給付金」には、本人の所得基準に加えて、いくつかの追加要件があります。

3.2 「老齢年金生活者支援給付金」の3つの支給要件

老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす人です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は82万4100円以下

こちらの判定でも、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得に算入されません。

なお、基準額をわずかに超えたために対象外となる人と、基準額内でぎりぎり対象となる人との間で不公平が生じないよう、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という緩和措置も用意されています。

補足的老齢年金生活者支援給付金

対象となるのは、昭和31年4月2日以後生まれで前年の所得等が82万6500円を超え92万6500円以下の人、昭和31年4月1日以前生まれで82万4100円を超え92万4100円以下の人です。

所得が基準額に近づくほど、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は段階的に小さくなっていきます。

4. 手続きをしないと受け取れない。「緑の封筒」が届いたら

年金生活者支援給付金は、支給対象になったからといって自動的に年金へ上乗せされるわけではなく、必ず請求手続きが必要です。

すでに年金を受け取っている人で、所得の低下などにより新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合には、毎年9月1日以降、順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られてきます。

4.1 【毎年9月に順次送付】緑の封筒が届いたときの対応

※すでに年金を受け取っている方の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なります。

一方、これから65歳になる人には、誕生日の3カ月前に送られる老齢基礎年金の請求書に、給付金の請求書が同封されています。必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とあわせて提出しましょう。

4.2 一度手続きすれば、翌年以降も自動的に続く

年金生活者支援給付金は、最初に請求書を提出しておけば、支給要件を満たしている間は2年目以降あらためて手続きをしなくても受給を続けられます。

継続の可否は前年の所得をもとに毎年判定され、結果は10月分(12月支給分)から1年間反映されます。対象外と判定された場合には「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。

また、毎年度4月分からの支給金額は、6月上旬に届く「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」と「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認できます。

和田直子
緑の封筒は、見慣れない差出人だと後回しにされがちですが、中身は「お金を受け取るための手続き書類」です。一度提出してしまえば翌年以降は自動で継続されるので、届いたときにまとめて済ませてしまうのが一番負担が少ない方法です。心当たりのある方は、まず封を開けて中身を確認することから始めてみてください。