国民年金の保険料を納めるのが難しいときは、免除や納付猶予を申請できます。
日本年金機構によると、免除には全額・4分の3・半額・4分の1の4段階があり、区分ごとに将来の年金額への反映が変わります。
全額免除でも年金額の2分の1は確保されますが、納付猶予は年金額に反映されません。同じ「納めない」でも扱いが違います。
この記事では、免除と納付猶予の区分ごとの違いを確認したうえで、2026年度の年金額と受給権者の平均月額を見ていきます。
1. 保険料の免除は4段階。年金額への反映が段階ごとに違う
保険料を納めるのが難しいときに、未納のまま放置してしまうケースがあります。
日本年金機構は、申請による免除と納付猶予の仕組みを設けています。
1.1 4つの区分と、令和8年度に納める額
免除の区分は4つです。
全額免除なら納める額は0円、4分の3免除は4480円、半額免除は8960円、4分の1免除は1万3440円です(いずれも令和8年度)。
所得の基準は前年所得で判定されます。全額免除は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」以下、4分の3免除は88万円、半額免除は128万円、4分の1免除は168万円に、それぞれ扶養親族等控除額と社会保険料控除額等を加えた額以下が目安です。
1.2 年金額に反映される割合が段階で変わる
ここが免除と納付猶予の分かれ目になります。
免除を受けた期間も、将来の老齢基礎年金の計算に一定の割合で入ります。全額免除は保険料を全額納付した場合の2分の1、4分の3免除は8分の5、半額免除は8分の6、4分の1免除は8分の7です。
一方、納付猶予は20歳以上50歳未満の方が対象で、所得の基準は全額免除と同じですが、承認された期間は年金額に反映されません。受給資格期間には算入されます。
1.3 申請できる期間と、押さえておきたい注意点
申請の時期にも決まりがあります。
免除等の年度は7月から翌年6月までで、1枚の申請書で申請できるのは1年度分です。さかのぼれるのは申請時点から2年1か月前までとなっています。
一部免除については、納めるべき額を納付しないと未納として扱われる点に注意が必要です。任意加入している方は申請できません。
なお、失業や倒産、事業の廃止による場合は、前年所得にかかわらず申請できる特例があります。この特例は毎年の申請が必要です。障害基礎年金や生活保護を受けている方は、法定免除という別の仕組みになります。
なお、公的年金の仕組みや年代別・全体の平均年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
2. 公的年金は1階と2階でどう組み立てられているか
公的年金の基本的な仕組みの内容は、LIMOの記事「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」から引用して見ておきます。
日本の公的年金は、2階建て構造で、1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金(会社員・公務員)となっています。国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が対象となる基礎的な年金制度です。自営業やフリーランス、学生などが主に加入し、保険料は自分で納めます。受給額は加入期間に応じて決まりますが、満額でも月約7万円程度が目安です。厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、国民年金に上乗せして支給されます。保険料は給与から天引きされ、収入や加入期間によって将来の受給額が変わります。
出所:LIMO「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」
3. 2026年度の年金額は4年度連続のプラス改定
厚生労働省が示した2026年度の年金額の例を見ていきます。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分※1)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※)
出所:LIMO「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」
※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。このように年齢により受給額が異なります。
※2男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
厚生年金の23万7279円は夫婦を合わせた額です。2026年度の年金額改定の中身はLIMOの別記事でも扱っています。
注釈にあるとおり、想定されているのは「40年間会社員として月額45万5000円を稼いだ夫の厚生年金と国民年金」と「40年間第3号被保険者もしくは自営業などだった妻の国民年金」です。いまは共働き世帯や単身世帯、自営業の方などさまざまですから、この額は目安のひとつと見るのが妥当です。実際に受け取る額は加入状況によって一人ひとり大きく違います。
前年度の2025年度(令和7年度)は23万2784円でした。これで4年度続けてのプラス改定です。国民年金の満額も2025年度の6万9308円から増えています。
4. 年代ごとに見た、厚生年金の平均月額
いまのシニア世代が実際に受け取っている額はどのくらいでしょうか。年代別の年金一覧表と合わせて確認します。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、年齢ごとの平均月額を一覧で確認します。
まず厚生年金(国民年金部分を含む)の平均月額を見ます。
4.1 60歳代の厚生年金はいくらか
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
出所:LIMO「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
4.2 70歳代の厚生年金はいくらか
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
出所:LIMO「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」
4.3 80歳代の厚生年金はいくらか
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
出所:LIMO「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」
4.4 90歳以上の厚生年金はいくらか
- 90歳以上:16万4027円
出所:LIMO「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」
受給開始の標準は65歳です。65歳以降の各年齢で見た厚生年金の平均月額は、14万円台から16万円台に収まりました。



