失業や収入の減少など、思わぬきっかけで一時的に生活資金が足りなくなることは、誰にでも起こり得ます。そうしたときの選択肢のひとつに、国が全国の社会福祉協議会を通じて実施している「生活福祉資金貸付制度」があります。

低所得者世帯や障害者世帯、高齢者世帯を対象に、生活費や住宅費、教育費など用途に応じた資金を借りられる制度で、連帯保証人を立てれば無利子になるなど、一般的な借入れとは異なる条件が設けられています。

この記事では、生活福祉資金貸付制度の対象者や資金の種類、貸付条件を整理したうえで、貸付以外に利用できる公的な支援についても紹介します。

1. 「生活福祉資金貸付制度」とは?対象になるのはどんな世帯か

まずは、この制度の枠組みと対象者を確認しましょう。

1.1 低所得者世帯・障害者世帯・高齢者世帯が対象

厚生労働省によると、生活福祉資金貸付制度は、都道府県社会福祉協議会が実施主体となり、必要な資金の貸付けとあわせて、相談や支援をおこなう制度です。

対象となるのは、必要な資金を他から借り受けることが困難な「低所得者世帯(市町村民税非課税程度)」、身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人などが属する「障害者世帯」、65歳以上の高齢者が属する「高齢者世帯」の3つです。

この記事で紹介する内容は、いずれも本則の制度であり、新型コロナウイルス感染症に伴う特例貸付(申請受付は令和4年9月末で終了)とは異なるものです。

2. 貸付金の種類は4つ、用途に応じて選べる

生活福祉資金貸付制度で借りられる資金は、総合支援資金・福祉資金・教育支援資金・不動産担保型生活資金の4種類に分かれており、それぞれ用途と貸付限度額が定められています。

生活福祉資金貸付制度、主な資金の種類と貸付限度額1/2

生活福祉資金貸付制度、主な資金の種類と貸付限度額

出所:厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」をもとにLIMO編集部作成

2.1 総合支援資金は、生活再建までの生活費や住宅費をまかなう

総合支援資金は、失業などによって生活に困窮している人が、社会福祉協議会やハローワークの支援を受けながら生活を立て直すための資金です。

生活を再建するまでの生活費にあたる「生活支援費」は、原則3か月(最長12か月まで延長可能)、二人以上世帯で月20万円以内、単身世帯で月15万円以内が貸付けの目安です。このほか、敷金・礼金など住宅の賃貸契約に必要な「住宅入居費」は40万円以内、就職活動や債務整理などに必要な「一時生活再建費」は60万円以内となっています。

政府広報オンラインによると、総合支援資金の利用には、離職者であればハローワークでの求職登録、住居がない場合は自治体への住居確保給付金の相談が前提になるなど、いくつかの要件があります。

2.2 福祉資金は、緊急小口資金や医療・介護などの費用に

福祉資金には、生業を営むための経費や、病気療養、住宅の増改築、介護サービスの利用などに必要な費用をまかなう「福祉費」(580万円以内、用途に応じて上限目安額あり)と、緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に借りられる「緊急小口資金」(10万円以内)があります。

2.3 教育支援資金・不動産担保型生活資金という選択肢もある

低所得世帯の子どもが高校や大学、高専などに進学・修学するための資金には「教育支援資金」があり、通学のための「教育支援費」(学校の種類に応じて月3万5000円〜6万5000円以内)と、入学時にまとまった費用がかかる「就学支度費」(50万円以内)の2種類が用意されています。

また、低所得の高齢者世帯が、自宅などの居住用不動産を担保に生活資金を借りられる「不動産担保型生活資金」(土地評価額の70%程度、月30万円以内)もあります。

和田 直子

生活福祉資金貸付制度は、あくまで「貸付け」であり、いずれは返済が必要になるお金です。目の前の資金繰りだけでなく、将来の収入の見通しや返済計画まで含めて、社会福祉協議会の担当者としっかり相談しながら検討することをおすすめします。