住民税非課税世帯になると、どのような支援を受けられるのか気になる方も多いでしょう。

住民税非課税世帯を対象とした支援は、国や自治体からの給付金だけではありません。NHK受信料をはじめ介護保険料や国民健康保険料など、毎月あるいは毎年支払う費用の負担が軽くなる制度もあります。

ただし、住民税非課税世帯になっただけで、すべての費用が自動的に減免されるわけではなく、制度によって対象者や所得要件、申請方法などが異なります。

この記事では、住民税非課税世帯の方が確認しておきたい、固定費の負担軽減制度を7つ厳選して解説します。

木内 菜穂子
住民税非課税世帯向けの制度は、給付金のように一度きりのものと、保険料や公共料金のように毎年続くものに分かれます。家計への効き方が長いのは後者のほうです。ただ、自治体が自動で判定してくれるものと、こちらから申請しないと始まらないものが混ざっているため、まずはその仕分けから確認していきましょう。金融機関の窓口や、社会保険の手続きを扱う仕事に携わってきた立場から見ても、この2つを分けて把握しておくかどうかで、受け取れる軽減額に差が出やすいところです。制度名を覚える必要はありません。「放っておいても効くもの」と「動かないと効かないもの」という2つの箱に入れ直すだけで、取りこぼしはかなり減らせます。

なお、住民税非課税世帯を対象とした優遇措置については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【2026年最新】「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう「収入ゼロでも給付金が届かない?」5つの盲点を徹底解説
【2026年最新】「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう「収入ゼロでも給付金が届かない?」5つの盲点を徹底解説

1. 住民税非課税世帯が利用できる固定費の減免・負担軽減制度7選

住民税非課税世帯に該当する場合、社会保険料や公共料金などの支払い負担が軽減される制度を利用できます。

代表的な負担軽減措置として、次の7つがあります。

  • NHK受信料
  • 介護保険料
  • 国民健康保険料
  • 後期高齢者医療保険料
  • 介護保険サービスを利用したときの自己負担の軽減
  • 年金生活者支援給付金
  • 水道・下水道料金の減免

7つの制度は、自治体が自動で判定するものと、自分から申請しないと始まらないものに分かれます1/2

住民税非課税世帯が利用できる固定費の負担軽減制度7選。NHK受信料・介護保険料・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護サービスの食費と居住費・年金生活者支援給付金・水道下水道料金について、軽くなるものと手続きの要否をまとめた一覧表

出所:NHK受信料の窓口「受信料免除の対象となる方について」ほか各制度の公表資料をもとにLIMO編集部作成

このうち国民健康保険料、介護保険料、NHK受信料の3つについては、【2026年最新】「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう「収入ゼロでも給付金が届かない?」5つの盲点を徹底解説に次のように整理されています。

国民健康保険料の減額
所得状況に応じて、応益分保険料(均等割・平等割)が「7割・5割・2割」のいずれかの割合で軽減されます。この措置は自治体が自動的に適用するため申請の必要はなく、年間で数万円の負担減につながる場合もあります。

介護保険料の負担軽減
65歳以上の第1号被保険者が対象となり、保険料が減額されます。軽減される割合は自治体ごとに異なりますが、負担が大きく軽くなることもあります。

NHK受信料の免除
受信料が全額または半額免除されます。世帯に障害のある方がいる場合や、生活保護を受給しているケースなどが主な対象です。

出所:【2026年最新】「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう「収入ゼロでも給付金が届かない?」5つの盲点を徹底解説

では、それぞれの措置の詳細について確認していきましょう。

1.1 NHK受信料の免除

住民税非課税世帯に該当すると、NHK受信料の免除を受けられます。

ただし、住民税非課税世帯だからといって、必ずしもNHK受信料が無料になるわけではありません。

NHKでは、免除基準について以下のように定めています。

  • 世帯内に障害者手帳などを持つ方がいる
  • 世帯構成員全員が市町村民税非課税である

上記条件を満たした場合に、受信料の全額が免除となります。なお、生活保護を受けている場合も全額免除の対象です。

「住民税非課税世帯だから自動的に免除される」と考えずに、NHKの免除基準に該当するか確認することが大切です。

1.2 介護保険料の軽減

65歳以上の方も、前年の所得に応じて介護保険料を支払う必要があります。しかし、住民税非課税世帯の場合は保険料段階が低く設定されており、基準額よりも保険料が安くなる仕組みとなっています。

なお、具体的な保険料額は所得だけでなく、自治体によっても異なります。

住民税非課税世帯に該当する要件や、自身の保険料段階について確認したい場合は、市町村役所の介護保険担当窓口に問い合わせてください。

1.3 国民健康保険料の軽減

住民税非課税世帯など、法令により定められた所得基準を下回る世帯は、国民健康保険料の支払い負担が軽減されます。

国民健康保険料は、所得に応じて負担する「応能分(所得割、資産割)」と、加入者が均等に負担する「応益分(均等割・平等割)」で構成されています。

そして、所得が一定基準以下の世帯は、「応益分」の7割・5割・2割が減額される仕組みとなっています。

7割・5割・2割のいずれの割合が適用されるかは、世帯の所得や加入者数などによって決まり、住民税非課税世帯だからといって必ずしも7割が減額されるとは限りません。

また、国民健康保険料率は自治体によって異なるため、同じ所得水準でも、住んでいる地域によって支払う保険料は異なります。

1.4 後期高齢者医療保険料の軽減

75歳以上の方などが加入する後期高齢者医療制度にも、低所得者の負担を軽くする仕組みがあります。

後期高齢者医療の保険料は所得に応じて計算されますが、所得が一定基準以下の場合、均等割が7割・5割・2割のいずれかの割合の軽減を受けられます。

判定に使われるのは、同一世帯の被保険者全員と世帯主の総所得金額等の合計です。港区の案内によると、軽減割合ごとの基準は次のように定められています。

港区の例です。令和8・9年度は医療分に限り、7割軽減が7.2割になります2/2

後期高齢者医療保険料の均等割軽減の判定基準。7割軽減は43万円プラス年金給与所得者の数マイナス1に10万円を掛けた額以下、5割軽減はそれに31万円掛ける被保険者数、2割軽減は57万円掛ける被保険者数を加えた額以下

出所:港区ホームページ「保険料の軽減措置」をもとにLIMO編集部作成

なお公的年金による所得は、判定にあたって高齢者特別控除15万円を差し引いた額で見ます。世帯主が被保険者でない場合も、その所得が判定の対象に含まれます。

国民健康保険料の軽減措置と同様に、「住民税非課税世帯なら一律で○割軽減」という単純な仕組みではなく、判定は世帯の所得や被保険者の状況などによって行われます。

軽減が反映されているかどうかは、保険料決定通知書などで確認可能です。

木内 菜穂子
国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の軽減は、自動的に軽減割合が判定されることが多いです。しかし、自治体が所得を把握できないと軽減を受けられない可能性があるため、たとえ収入が少ない場合でも、住民税の申告を忘れずに行うことが大切です。

1.5 介護保険サービスを利用したときの自己負担の軽減

住民税非課税世帯の方が介護保険サービスを利用した場合、自己負担分が軽減される制度があります。

介護保険サービスを利用した場合、利用者負担として費用の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)を負担する必要があり、さらに、居住費や食費、日常生活に必要な費用も発生することがあります。

しかし、住民税非課税世帯など所得の低い方は、「負担限度額認定」制度により、所得や預貯金額などの要件を満たせば、食費や居住費の負担額に上限が設けられます。

介護施設への入所やショートステイの利用を検討している場合は、市区町村の介護保険窓口で対象になる要件などについて確認しましょう。

1.6 年金生活者支援給付金

公的年金などの収入や所得が一定基準以下の方に、年金に上乗せして「年金生活者支援給付金」が支給されます。

対象となるのは、65歳以上の老齢基礎年金の受給者で、世帯全員が住民税非課税かつ前年の所得・年金収入が一定額以下の方です。障害基礎年金や遺族基礎年金の受給者で所得が基準以下の方も対象となります。

一度認定されれば、支給要件を満たし続ける限り継続して受給できます(毎年、所得などの判定あり)。

支給条件を満たす方には日本年金機構から申請書類が送付されるため、必要事項を記入して忘れずに返送しましょう。すでに年金を受給している方で新たに対象となった場合は、毎年9月1日以降、順次はがき型の請求書が送られます。

1.7 水道・下水道料金の減免

自治体によっては、水道料金・下水道使用料の減免を受けることも可能です。

ただし、水道・下水道は自治体が運営しているため、全国一律の制度ではなく、減免の対象や金額、条件などは自治体により異なります。

減免措置の有無や詳しい内容については、お住まいの自治体の水道局や下水道担当窓口に確認してみましょう。