「年金だけでは心もとないから、できるだけ長く働きたい」。そう考えている高齢者は、日本では実は世界的に見ても多い方だということをご存知でしょうか。内閣府の国際比較調査では、日本の高齢者の約4割が「収入を伴う仕事をしたい」と答えており、その理由のトップは「収入が欲しいから」でした。

この記事では、まず高齢者の就労意識に関する最新の国際比較データを確認したうえで、実際に受け取れる年金額がどれくらいなのかを、令和8年度の最新データから見ていきます。

※この記事では以下の記事のデータを一部引用しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
ココがポイント
  • 日本の高齢者は「収入を伴う仕事をしたい」割合が39.0%と、米独スウェーデンの4カ国中で最も高い
  • 働きたい理由の最多は「収入がほしいから」(48.2%)で、老化防止や生きがいを上回る
  • 令和8年度の年金額は前年度から引き上げられたが、実際の受給者平均は厚生年金で月15万289円、国民年金で月5万9310円にとどまる

1. 日本の高齢者は「働き続けたい」割合が4カ国で最も高い

内閣府が公表した「令和8年版高齢社会白書」に掲載された国際比較調査(高齢社会対策総合調査:高齢者の生活と意識に関する国際比較調査、令和7年実施)によると、今後「収入を伴う仕事をしたい(続けたい)」と回答した高齢者の割合は、日本が39.0%と、調査対象となったアメリカ(24.3%)、ドイツ(19.8%)、スウェーデン(19.1%)の中で最も高い結果となりました。

日本の高齢者は「働き続けたい」割合が4カ国で最も高い(令和7年調査)1/5

日本の高齢者は「働き続けたい」割合が4カ国で最も高い(令和7年調査)

出所:内閣府「令和8年版高齢社会白書」

日本以外の3カ国では、いずれも7割以上が「収入を伴う仕事をしたくない(辞めたい)」と回答しており、日本の高齢者の就労意欲の高さが際立つ結果です。では、日本の高齢者はなぜ働き続けたいと考えているのでしょうか。

1.1 働きたい理由の半数近くは「収入がほしいから」

同じ調査で「収入を伴う仕事をしたい(続けたい)」と回答した人にその理由を尋ねたところ、日本では「収入がほしいから」という回答が48.2%と最も多く、次いで「働くのは体によいから、老化を防ぐから」が25.1%、「仕事そのものが面白いから、自分の活力になるから」が12.6%という結果でした。

日本の高齢者が「収入を伴う仕事をしたい」主な理由(令和7年調査)2/5

日本の高齢者が「収入を伴う仕事をしたい」主な理由(令和7年調査)

出所:内閣府「令和8年版高齢社会白書」

生きがいや健康維持といった理由も一定数見られるものの、やはり「収入」を理由に挙げる高齢者が突出して多いことが分かります。これは裏を返せば、公的年金だけでは生活資金として十分と感じていない高齢者が少なくないことを示唆しているとも言えそうです。それでは、実際に受け取れる年金額はどれくらいなのでしょうか。ここからは、令和8年度の最新データを確認していきます。

和田 直子

「働くのは体によいから」「生きがいになるから」という前向きな理由がある一方で、最も多いのが「収入がほしいから」だという結果は、多くの方の実感と近いのではないでしょうか。年金だけで暮らしていけるかどうかを一度試算してみて、不安が残るようであれば、無理のない範囲で収入を得る手段を考えておくというのは、現実的な選択肢の一つだと思います。

働き方は、フルタイムでの再雇用だけでなく、短時間勤務やスポットの仕事などさまざまです。ご自身の体力や生活リズムに合った形を探してみることをおすすめします。

2. そもそも、令和8年度の年金額はいくらに改定されたのか

公的年金の受給額は、物価や賃金の動向を踏まえて年度ごとに見直されます。2026年6月支給分(4月・5月分)からは、国民年金(基礎年金)が前年度から1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられました。

  • 国民年金(老齢基礎年金・満額、1人分):7万608円(前年度比+1300円)
  • 厚生年金(夫婦2人分のモデル年金):23万7279円(前年度比+4495円)

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(前年度比+1300円)
※厚生年金のモデル年金は、「男性の平均的な収入(平均標準報酬〈賞与含む月額換算〉45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金〈満額〉)の給付水準

ここで示した23万7279円というモデル年金の金額は、平均的な収入で40年間働いた世帯を想定した、あくまで一つの「例」にすぎません。先ほど確認した「収入がほしいから働きたい」という高齢者の実感により近づくために、次は実際の受給者全体が受け取っている平均額を見てみましょう。