海外転勤が決まったとき、住まいや家族のことに気を取られて、NISA口座は後回しになりがちです。

金融庁のNISA特設ウェブサイトによると、転任の命令等のやむを得ない事由で一時的に出国する場合は、あらかじめ手続きをしておくことで、一定の期間は引き続き非課税の適用を受けられます。

この記事では、出国の前に提出する継続適用届出書と、非課税の適用が続く期間の区切りを確認していきます。

1. 新NISAの口座を開設できるのは日本国内に住んでいる人

はじめに、NISA口座を持てる人の条件から確認します。

1.1 利用する年の1月1日時点で18歳以上の居住者が対象

金融庁は、NISAを利用するには銀行や証券会社などにNISA口座を開設する必要があり、日本国内に住んでいる18歳以上の方であれば開設できると案内しています。

年齢は、利用する年の1月1日時点で18歳以上であることが条件です。口座は1人につき1口座のみ開設できます。

1.2 出国しても非課税の適用を続けられる場合がある

NISAは日本国内に住んでいることを前提にした制度ですので、海外へ移り住むと、そのままでは口座を続けられません。

ただし金融庁は、転任の命令等のやむを得ない事由により一時的に出国する場合には、あらかじめ手続きを行うことにより、NISA口座で保有する上場株式等について一定の期間は引き続き非課税の適用を受けられると説明しています。

2. 出国の前に継続適用届出書を提出する

その手続きにあたるのが、継続適用届出書の提出です。

2.1 対象になるのは転任の命令等による一時的な出国

国税庁の資料によると、継続適用届出書を提出できるのは、帰国した後に再びNISA口座で上場株式等の受入れを行う方で、給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由により一時的に出国する方です。

転勤する本人だけでなく、その転勤に同行する配偶者がNISA口座を持っている場合も含まれるとされています。届出書は、出国の日の前日までに、NISA口座のある金融機関へ提出します。

2.2 出国中に取得した上場株式等はNISA口座に受け入れられない

出国する日までにNISA口座へ受け入れている上場株式等については、配当等と譲渡益が引き続き非課税になります。

一方で、出国した日から帰国届出書を提出する日までに取得した上場株式等は、NISA口座に受け入れることができません。国税庁の法令解釈通達でも、この期間に取得した上場株式等は非課税管理勘定等に受け入れられないとされています。

つまり、持っているものはそのまま、新しく買うほうは止まる、という形になります。

出国の前後で、届出書とNISA口座の扱いは次のように変わります1/2

出国の前後で、届出書とNISA口座の扱いは次のように変わります

出所:金融庁「よくある質問:NISA特設ウェブサイト」および国税庁の資料をもとにLIMO編集部作成

3. 非課税の適用が続く期間には5年という区切りがある

この特例は、いつまでも続くわけではありません。

3.1 継続適用期間は出国の日から帰国届出書を提出する日まで

国税庁の法令解釈通達では、継続適用期間を「出国をした日から帰国届出書の提出があった日までの間」と定めています。

帰国してNISA口座での買付けを再開するには、この帰国届出書を金融機関へ提出することになります。

3.2 5年を経過する日の属する年の12月31日までに帰国届出書を出さないと口座は廃止される

もうひとつの区切りが期日です。国税庁の資料によると、継続適用届出書を提出した日から5年を経過する日の属する年の12月31日までに帰国届出書を提出しなかった場合には、非課税口座廃止届出書を提出したものとみなされ、NISA口座は廃止されます。

非課税の適用が続くのは、帰国届出書を提出する日と、この期日のいずれか早い日までです。海外勤務が長くなりそうなときは、この日付を先に控えておくと落ち着いて動けます。

熊谷 良子

辞令が出てから出国までは、あわただしい時期です。提出の期限が出国の前日までですので、引っ越しの準備と並べて予定に入れておきたい手続きです。