空き家が増えている、という話をよく聞くようになりました。ただ、その900万戸という数字が何を数えたものなのかまで説明されることは、あまり多くありません。

総務省の「住宅・土地統計調査」は、5年に一度、全国の住宅の状況を調べています。2023年10月1日現在で実施された令和5年調査の確報集計から、空き家の数と中身を見ていきます。

空き家は900万2000戸で過去最多、空き家率は13.8%で過去最高でした。一方で内訳を見ると、半分近くは入居者を募集している賃貸物件の空き室です。

この記事の3つのポイント
  • 空き家は900万2000戸で過去最多、空き家率も13.8%で過去最高でした。
  • 空き家の49.3%は賃貸用の空き家で、賃貸・売却用などを除く空き家は42.8%です。
  • 2018年からの増加51万3000戸のうち、36万9000戸は賃貸・売却用などを除く空き家でした。

1. 空き家は900万2000戸、空き家率は13.8%

総務省統計局の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」によると、2023年の空き家は900万2000戸でした。2018年の848万9000戸から51万3000戸増えており、過去最多です。

総住宅数に占める空き家の割合である空き家率は13.8%で、2018年の13.6%から0.2ポイント上昇しました。こちらも過去最高です。

【図表1】空き家数と空き家率の推移(1993年〜2023年)1/2

【図表1】空き家数と空き家率の推移(1993年〜2023年)

各種資料をもとにLIMO編集部作成

空き家数は調査のたびに増え続けています。1993年の447万6000戸と比べると、2023年は900万2000戸ですから、30年間で約2倍になりました。

一方で、空き家率の上がり方は近年ゆるやかになっています。1993年の9.8%から2008年の13.1%までは3.3ポイント上がりましたが、2008年から2023年までの15年間の上昇は0.7ポイントでした。

2. 統計上の「空き家」は4つに分かれます

同じ調査の説明によると、空き家は次の4つに区分されています。

  • 賃貸用の空き家:新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
  • 売却用の空き家:新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
  • 二次的住宅:別荘のように、週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用され、ふだんは人が住んでいない住宅のほか、たまに寝泊まりする人がいる住宅など
  • 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家:転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や、建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など

4つ目の区分には、空き家の種類の判断が困難な住宅も含まれる、と同調査は注記しています。

3. 900万2000戸の約半分は「賃貸用の空き家」

【図表2】空き家の種類別内訳と2018年からの増減(2023年)2/2

【図表2】空き家の種類別内訳と2018年からの増減(2023年)

各種資料をもとにLIMO編集部作成

最も多いのは賃貸用の空き家で443万6000戸、空き家全体の49.3%を占めます。次いで、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家が385万6000戸で42.8%です。

二次的住宅は38万4000戸で4.3%、売却用の空き家は32万6000戸で3.6%にとどまります。

二次的住宅にあたる別荘などについては、国が二地域居住を後押しする法律を2024年11月1日に施行し、施行後5年間で特定居住促進計画600件という目標を掲げています。ただし統計上の戸数は、2018年からほとんど動いていません。この調査は2023年10月1日時点のもので、法律の施行前の状況です。

「二拠点生活」を後押しする法律が2024年11月に施行。5年で計画600件・支援法人600法人が目標、国が使う正式名称は
「二拠点生活」を後押しする法律が2024年11月に施行。5年で計画600件・支援法人600法人が目標、国が使う正式名称は
ここで少し脇道に逸れます。

空き家が900万戸を超えたと聞いたとき、私が思い浮かべたのは、雨戸が閉まったまま何年も動きのない家でした。ただ内訳を見ると、いちばん多いのは賃貸用の空き家で443万6000戸、全体の49.3%を占めます。

これは入居者を募集している最中の部屋を含みます。完成したばかりで、まだ入居が始まっていない部屋もここに入ります。つまり半分近くは、人に貸すことを前提にした家ということになります。

同じ900万2000戸という数字でも、放置された家が900万戸あると読むのか、そのうち385万6000戸がそれにあたると読むのかで、受け取り方はかなり変わってきます。どちらが正しいという話ではなく、数えている範囲を先に確かめておかないと、話がかみ合わなくなるのだろうと思います。

では、増えているのはどちらなのでしょうか。
中沢 新

4. 増えた51万3000戸のうち、約7割は賃貸・売却用などを除く空き家

2018年から2023年にかけての増減を種類別に見ると、増え方には差があります。

  • 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家:36万9000戸の増加(10.6%増)
  • 賃貸用の空き家:10万9000戸の増加(2.5%増)
  • 売却用の空き家:3万3000戸の増加(11.3%増)
  • 二次的住宅:3000戸の増加(0.7%増)

空き家全体の増加は51万3000戸で、6.0%の増加でした。このうち36万9000戸が賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家ですから、増加分の約7割がこの区分だった計算になります。

空き家の総数に占めるこの区分の割合も、1993年の33.2%から2023年は42.8%へと上がりました。空き家が増えているという話の中身は、この区分が増えているという話に近づいてきています。

5. 「その他の住宅」という呼び名は、令和5年調査で変わりました

過去の記事や資料と見比べるときに、ひとつ注意が必要な点があります。この4つ目の区分は、平成30年調査までは「その他の住宅」という名称で集計されていました。

令和5年調査では空き家の種類について名称と表記順の整理が行われ、「その他の住宅」は「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」という名称になっています。数え方が変わったわけではなく、呼び名が変わったものです。

国土交通省の資料などでは、いまも「その他空き家」という表記が使われることがあります。同じものを指していますが、名称が違うため、別の指標だと受け取ってしまわないよう気をつけたいところです。

6. 除却や修繕等がなされた空き家は累計22万30件

市区町村の側の動きも見ておきます。国土交通省と総務省が令和7年3月31日時点でまとめた空家法の施行状況によると、令和6年度までの累計で、除却や修繕等がなされた空き家は22万30件でした。

  • 空家法の措置により除却や修繕等がなされた特定空家等:2万7244件
  • 空家法の措置により除却や修繕等がなされた管理不全空家等:3757件
  • それ以外の市区町村の取組により除却や修繕等がなされた空き家:18万9029件

ここでいう除却や修繕等には、除却、修繕、繁茂した樹木の伐採、改修による利活用、その他適切な管理が含まれます。空家等対策計画を策定済みの市区町村は1541で、同資料では調査対象1741市区町村のうち88%とされています。

7. まとめにかえて

空き家900万2000戸という数字の中身を、統計の側から見てきました。

  • 空き家は900万2000戸で過去最多、空き家率も13.8%で過去最高でした
  • 内訳は賃貸用が49.3%、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家が42.8%です
  • 2018年からの増加51万3000戸のうち、36万9000戸はこの4つ目の区分でした
  • 令和6年度までに除却や修繕等がなされた空き家は、累計で22万30件です

空き家が増えているのは事実ですが、その中身は一様ではありません。入居者を募集している賃貸物件の空き室と、転勤や入院で長く不在になっている住宅とでは、置かれている状況が違います。数字を見るときは、どの区分の話なのかを先に確かめておくと、行き違いが減ります。

なお、ここで挙げたのは全国の集計です。地域によって空き家率も内訳も変わります。自分の住む地域の状況や、所有している家の扱いについては、市区町村の空き家担当窓口に確認するのが確実です。

8. 【執筆者コメント】外から見ても分からないこと

家の前を通っただけでは、そこに人が住んでいるのかどうかは案外分かりません。カーテンが引かれているだけの家と、何年も使われていない家は、外から見るとよく似ています。

私は群馬県の山間地域に住んでいて、勤務先を変えないままリモートワークで働いています。それでも、近くの家がいまどういう状態なのかを言い当てられるかというと、自信はありません。

この調査も、外から見た印象で区分を決めているわけではありません。賃貸用なのか、売却用なのか、別荘なのか、それ以外なのかで分けたうえで、種類の判断が困難な住宅は4つ目の区分に含めると注記しています。385万6000戸という数字には、その分の幅があるということです。

そう考えると、この統計が教えてくれるのは「何戸あるか」であって、「どれが困っている家か」ではないのだろうと思います。困っている家を見つける仕事のほうは、市区町村の調査が担っているのでしょう。

もっとも、人のことは言えません。私はネット通販でつい注文してしまう癖があって、単価の高いものではなく、洗剤や調理器具のような、なくても困らないものほど手が伸びます。使う予定のないまま置いてあるものを数えたら、家の話も人ごとではなくなりそうです。

参考資料

中沢 新