8月ももう終わり、夏の出費の痛手を考えやすいのがこの時期です。旅行や帰省、夏特有の買い物と、夏は何かとお金がかかるもの。同じように冬になれば年末年始でお金がかかりますから、秋に家計や貯蓄をどう考えるかは重要です。
普段の家計だけでなく、時間のある時に考えたいのが老後資金です。現役時代は仕事や家事育児で何かと忙しいですが、特に60歳代は退職や年金の受給開始などで家計や貯蓄が目まぐるしく変化する年代。この年代で家計や貯蓄とどう向き合うかで、70歳代以降の老後の家計や貯蓄が変わります。
この記事では、60〜70歳代・二人以上世帯の平均・中央値と金額帯の分布を確認し、まとまった蓄えを持つ世帯に着目しながら、退職前後の備え方を元証券会社員の視点で考えます。
- 60〜70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値はいくらか
- 退職前後で変わる、60代と70代の家計
- 夫婦での取り崩しの考え方
1. 【60〜70歳代二人以上世帯の平均貯蓄額】中央値はいくらか?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の金融資産保有額は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
1.1 60歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 60歳代二人以上世帯:平均2683万円/中央値1400万円
平均2683万円、中央値1400万円。2000万円以上が39.6%と4割近くにのぼる一方、貯蓄のない世帯も12.8%みられます。
1.2 70歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 70歳代二人以上世帯:平均2416万円/中央値1178万円
平均2416万円、中央値1178万円。60代よりやや下がるのは、取り崩しが進むためとみられます。2000万円以上は37.5%、貯蓄のない世帯は10.9%と少なめです。
どちらの年代も平均が中央値を上回りますが、単身世帯ほどの開きではありません。夫婦世帯は、年金と蓄えを二人分で組み立てられるのが強みです。中央値もあわせて位置を確かめましょう。
1.3 金額帯でみる、退職前後の蓄え
金額帯ごとの割合をみると、60〜70歳代・二人以上世帯には、大きな蓄えを築いた層が厚いことがわかります。
「3000万円以上」を持つ世帯は、60歳代で27.2%、70歳代で25.2%と、いずれも4世帯に1世帯を超えています。退職金や長年の資産形成などが実を結んだ層と考えられます。
もっとも、これは全体の一部です。60〜70歳代でも「1000万円未満」の世帯が4割前後あり(60歳代41.5%、70歳代44.1%)、蓄えの厚みは世帯ごとに大きく異なります。
大切なのは、わが家の状況を確認し、蓄えを取り崩しでどう長持ちさせるかです。まずは金額帯で位置を確かめ、夫婦で使い方の見通しを共有しておきましょう。
