65歳前に年金を受け取る方法としては繰上げ受給が知られていますが、それとは別に「特別支給の老齢厚生年金」を受給している人もいます。

これは老齢厚生年金の受給開始年齢が段階的に65歳へ引き上げられた際に設けられた制度で、対象となるのは男性が昭和36年4月1日以前生まれ、女性が昭和41年4月1日以前生まれの人に限られます。

2026年現在、男性の対象者はすでに全員が65歳以上となっており、新たに60歳代前半で受給対象となるのは主に女性です。筆者はファイナンシャルプランナーとして家計相談やライフプラン設計に携わってきました。この記事では、特別支給の老齢厚生年金の仕組みや対象者の確認方法についてわかりやすく解説します。

ココがポイント
  • 特別支給の老齢厚生年金を受け取るための5つの受給要件
  • 働きながら年金を受け取る際(在職老齢年金)の注意点
  • 厚生年金に44年以上加入した方が利用できる「44年特例」の仕組み

1. 特別支給の老齢厚生年金、65歳支給への移行をスムーズにする背景

まず、なぜこの制度があるのかを確認します。

1.1 昭和60年の改正で60歳から65歳へ

日本年金機構の説明によると、昭和60年の法律改正により、厚生年金保険の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられました。

この引き上げを段階的に、スムーズに行うために設けられたのが特別支給の老齢厚生年金です。一度に5年ずらすのではなく、生年月日ごとに少しずつ後ろへ動かす形が取られました。

1.2 2026年現在に対象となる5つの受給要件

特別支給の老齢厚生年金を受け取るためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

5つすべてを満たす必要があります

出所:日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」をもとにLIMO編集部作成

  • 女性は昭和41年4月1日以前に生まれていること(※男性の対象世代である昭和36年4月1日以前生まれの方は、2026年現在すでに全員65歳を迎えています)
  • 老齢基礎年金(全員が加入する国民年金)の受給資格期間が10年以上あること
  • 厚生年金保険等に1年以上加入していた期間があること
  • 生年月日に応じた受給開始年齢(60歳から64歳)に達していること
  • 65歳未満であること

2026年現在、新たにこの制度の受給開始を迎えるのは主に女性(昭和41年4月1日以前生まれ)の方々です。男性の方はすでに65歳に達しており、本則の老齢厚生年金へと移行しています。ご自身の生年月日が当てはまるかは、自宅に届く「ねんきん定期便」などで確認できます。