最近は夫婦2人がともに働きに出る「共働き世帯」が増えています。独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表している「専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2018年」によると、 2018年の共働き世帯は1219万世帯にのぼり、専業主婦世帯600万世帯の2倍になっています。つまり、いまや専業主婦は少数派。中には「専業主婦になれるのは一部のお金持ちの男性と結婚した女性だけ」という見方をする人もいるようです。

今回は「専業主婦」をめぐる意識変化や、お金に関して考えておきたいことについて見ていきます。

専業主婦派の女性は多いのか

内閣府男女共同参画局の「男性にとっての男女共同参画に関する意識調査(2012年)」では、全体の4割強の女性が「自分もできるだけ稼ぎたい」と回答しています(「そう思う10.1%」「ややそう思う」34.6%の合計)。一方、否定的な回答は2割弱(「あまりそう思わない」13.5%と「そう思わない」4.6%の合計)でした。このように、専業主婦志向の女性もいることは確かですが、数の上ではそれほど多いわけではないということがわかります。

一方、男性はというと、「妻にはできるだけ稼いでもらいたい」と考える人は約2割でした。とはいえ、この結果には結構年代別に特徴が出ていて、20代では3割以上が妻にも稼いでほしいと回答しています(「とてもそう思う」6.7%と「ややそう思う」26.3%の合計)。それに対し、60代では1割以下のわずか8.3%という結果でした(「とてもそう思う」0.6%、「ややそう思う」7.7%の合計)。

この調査はやや古いものですが、専業主婦が当たり前だった日本でも、この時点でここまで共働きへの意識が広がってきていたというのには時代の流れを感じさせます。その後、2016年の女性活躍推進法の施行の後押しもあるでしょうが、なかなか給与水準が上がらないという経済環境も共働き世帯増加の大きな要因の一つであると考えられます。

専業主婦のメリット、デメリットを考えてみる

続いて、専業主婦になることのメリットとデメリットについて考えてみましょう。まずはメリットからです。

1つは家事と育児に集中することができること。仕事をしながらだと、どうしても家事や育児に割く時間が削られてしまいます。子どもとの時間を十分に取りたいとか、今はとにかく家事と育児が楽しいという人の気持ちは理解できるものです。もう1つは、仕事がらみのストレスに心を煩わされなくてすむということ。もちろん子育ての苦労があることに変わりはありませんが、職場の人間関係や仕事の成果へのプレッシャーに悩むことは避けられます。

逆に、デメリットを見てみましょう。