3. 【試算】単身・前年の給与収入120万円なら、加入後の月の負担は7842円軽くなる
国保から職場の健康保険に切り替わると、毎月の保険料はどう変わるのでしょうか。新宿区の国保料と、厚生労働省の手取りの試算ツールを使って比べました。
前提は、新宿区に住む単身世帯で40歳未満、前年の収入が給与収入120万円だけの人です。加入前は国民健康保険と国民年金に、加入後は月給10万円で職場の健康保険と厚生年金保険に入るとしました。
加入前は国保3853円と国民年金1万7920円で月2万1773円、加入後は健康保険と厚生年金で月1万3931円(編集部試算)2/2
出所:新宿区「保険料の計算方法について」、厚生労働省「手取り額の変化について」をもとにLIMO編集部作成(編集部試算)
3.1 国保料は5割減額で月3853円
前年の給与収入が120万円の単身世帯なら、新宿区の国民健康保険料は月額3853円です(編集部試算)。
この金額には、医療費にあてる保険料のほか、後期高齢者医療制度を支えるための支援金分と、子ども・子育て支援金分が含まれています。40〜64歳の人は、介護保険分も加わります。
国保料は、世帯の所得に応じて減額されることがあります。新宿区では、単身世帯で前年の総所得金額等が74万円以下なら、人数に応じてかかる「均等割額」が5割減額されます。
給与収入が120万円の場合、給与所得は55万円なので、この5割減額の対象です。減額後の均等割額は月額2795円になります。
これに、所得に応じてかかる「所得割額」が加わります。給与所得55万円から基礎控除の43万円を引いた12万円に、合計10.58%の料率をかけると、所得割額は月額1058円です。
均等割額2795円と所得割額1058円を合わせて、国保料は月額3853円になります。なお、国保料は年10回に分けて納めるため、実際の1回あたりの納付額は、この月額とは異なります。
3.2 社会保険に加入すると、健康保険料は増えても年金保険料の負担は軽くなる
では、勤め先の社会保険に加入すると、保険料の負担はどう変わるのでしょうか。
月給10万円の場合、厚生労働省の試算ツールでは、健康保険料は月額4964円です。先ほどの国保料3853円と比べると、医療の保険料は月額1111円増えます。
一方、年金の保険料は軽くなります。国民年金の保険料は2026年度で月額1万7920円ですが、月給10万円で厚生年金に加入すると、本人が負担する厚生年金保険料は月額8967円です。月額8953円の負担減になります。
健康保険料と年金保険料を合わせると、次のとおりです。
- 国保と国民年金に加入している場合:月額2万1773円
- 勤め先の健康保険と厚生年金に加入した場合:月額1万3931円
- 差額:月額7842円の負担減
いずれも今回の条件にもとづく編集部試算です。実際の保険料は、加入する健康保険や標準報酬月額などによって異なります。
前年の給与収入が150万円の場合は、新宿区では均等割額の減額が2割になり、国保料は月額8175円と試算されます。国保料は、住んでいる自治体や世帯の人数、年齢、前年の所得などによって変わるため、今回の金額はあくまで一例です。
なお、ここでは雇用保険料や所得税、住民税は含めていません。家族の扶養に入っていて国保料を負担していなかった人は、社会保険への加入で新たに保険料がかかるため、負担の変化は上記とは異なります。
4. 保険が切り替わったら確かめたい2つのこと。国保の届出と民間保険の見直し
職場の健康保険に入ったら、国保の届出とあわせて確かめておきたいことがあります。ここでは、保険の見直しの相談に携わってきた立場から2つを挙げます。
4.1 国保をやめる届出は、加入から14日以内に
まずは、職場の健康保険の資格取得日が分かる書類を手元にそろえ、住んでいる区市町村に国保をやめる届出をしましょう。郵送や電子申請ができる自治体もあるので、窓口に行く時間が取れない人は確かめてみてください。
4.2 民間の医療保険は、公的な保障との重なりを見直す
職場の健康保険に入ると、病気やけがで仕事を休んだときに傷病手当金を受け取れるようになります。民間の医療保険や就業不能保険に入っている人は、公的な保障と重なっている部分がないかを見直すきっかけになります。
保険料が引かれ始めた最初の給与明細が届いたら、それを手元に、国保の届出と保障の見直しをまとめて進めてみてください。
参考資料
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」
- 厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」
- 厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト「適用拡大 Q&A」
- 厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト「手取り額の変化について」
- 江東区「国民健康保険料が変更になるとき」
- 新宿区「国民健康保険の届出について」
- 新宿区「保険料の計算方法について」
- 新宿区「令和8年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)」
- 新宿区「令和8年度 国民健康保険料 減額基準額早見表」
- 目黒区「会社の保険に加入しましたが、国民健康保険から脱退する手続きは必要ですか」
- 目黒区「国民健康保険の脱退の届出」
- 目黒区「国民健康保険のよくある問い合わせ(加入・脱退・保険料等)」
- 港区「今まで国民健康保険でしたが、職場の資格確認書(または資格情報通知書等)をもらいました。自動的に国民健康保険の資格は切れるのですか。」
渡邉 珠紀