退職金は勤め上げた区切りに受け取るお金ですが、振り込まれる額は満額ではありません。
国税庁によると、退職手当等の源泉徴収税額の計算のしかたは、「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と受けていない場合とで異なります。支給額800万円の例では、その差は154万1710円になります。
この記事では、この1枚の申告書で何が変わるのかを確認していきます。
- 申告書の提出がないと、支給額に20.42%を掛けた額が源泉徴収される
- 支給額800万円・勤続11年の例では、9万1890円と163万3600円の差になる
- 出しそびれても、本人が確定申告をすれば精算できる
1. 申告書の有無で計算方法が変わる
まず、2つの計算のしかたを見ていきます。
1.1 提出がないと一律20.42%になる
国税庁の説明によると、「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けていない場合は、退職手当等の支給額に20.42%の税率を乗じて計算した所得税および復興特別所得税の額を源泉徴収します。
勤続年数も、退職所得控除も、この計算には入りません。支給額だけを基準に差し引かれることになります。
1.2 800万円なら差は154万1710円
国税庁が示す具体例で比べてみます。退職金の支給額が800万円、勤続期間が10年2か月の場合、申告書の提出を受けているときの源泉徴収税額は9万1890円です。
同じ支給額800万円で申告書の提出を受けていない場合は、163万3600円が源泉徴収されます。差し引き154万1710円が、振り込まれる時点で変わることになります。
2. 退職所得控除は勤続年数で決まる
申告書を出した場合の計算も押さえておきましょう。
2.1 20年を境に1年あたりの額が上がる
勤続年数が20年以下の場合、退職所得控除額は40万円に勤続年数を掛けた額です。20年を超える場合は、800万円に、70万円と勤続年数から20年を引いた年数を掛けた額を加えた額になります。
勤続期間に1年に満たない端数があるときは、1年に切り上げます。10年2か月の勤務であれば11年として計算されますので、控除額は40万円に11を掛けた440万円です。
2.2 課税されるのは差額の半分
一般退職手当等の場合、課税退職所得金額は、収入金額から退職所得控除額を引いた額に2分の1を掛けた額です。支給額800万円から440万円を引いた360万円の半分、180万円が課税の対象になります。
勤続期間が29年2か月で支給額が2300万円の例では、勤続年数30年に対して控除額は1500万円、課税退職所得金額は400万円、源泉徴収税額は38万322円になります。控除額が大きいほど、税の負担は軽くなる仕組みです。
退職金の相談で最初に伺うのは、振り込まれた金額そのものです。額面と手取りが違うことに、受け取ってから気づく方は少なくありません。
