退職金が振り込まれた口座を見て、これからどうしようかと考える方は多いのではないでしょうか。
預金保険機構によると、預金保護の対象となる一般預金等については、1金融機関ごとに合算して、預金者1人当たり元本1000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。退職金がまとまった額であれば、1つの金融機関には収まりません。
筆者は銀行と信託銀行で15年以上、個人のお客さまの資産運用に携わってきました。この記事では、退職金を置く場所を考えるときの前提を確認していきます。
- 一般預金等の保護は1金融機関あたり元本1000万円までと破綻日までの利息等
- 当座預金や無利息型普通預金などの決済用預金は全額保護される
- 外貨預金や譲渡性預金は預金保険の対象外
1. 預金保険で守られる範囲は種類で違う
まず、預金がどこまで守られるのかを確認します。
1.1 全額保護されるものと1000万円までのもの
預金保険機構によると、当座預金や無利息型普通預金などの決済用預金は全額保護されます。決済用預金の要件は、利息がつかないこと、預金者が払戻しをいつでも請求できること、決済サービスを提供できることの3つです。
これに対して、有利息型普通預金や定期預金などの一般預金等は、1金融機関ごとに合算して、預金者1人当たり元本1000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。この合算のことを名寄せといいます。
1.2 対象外の預金もある
外貨預金や譲渡性預金などは、そもそも預金保険の対象外です。一般預金等で元本1000万円を超える部分とあわせて、破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われることになり、一部カットされることがあります。
なお、金融機関が合併を行った場合や事業のすべてを譲り受けた場合は、その後1年間に限り、保護される範囲が「元本1000万円×合併等に関わった金融機関の数」までとなる特例があります。
2. まとまった額を1つの口座に置くとどうなるか
退職金の額を当てはめて考えてみます。
2.1 2000万円なら半分が範囲外になる
仮に退職金が2000万円あり、それをすべて1つの金融機関の定期預金に置いたとします。この場合、預金保険で保護されるのは元本1000万円までと利息等で、残りの1000万円は破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われることになります。
同じ金融機関のなかで複数の口座に分けても、名寄せして合算されますので判定は変わりません。
2.2 置き方の選択肢
金融機関を分ける、決済用預金を使うといった方法があります。ただし決済用預金は利息がつきませんので、その点は割り切ることになります。
どこまで気にするかは考え方次第です。ただ、退職金のようにまとまった資金が一時的に1つの口座に入る場面では、保護の範囲を知っておいて損はありません。
退職金が振り込まれた直後は、金額の大きさに判断が引きずられがちです。まず置き場所を決めて、使い道はそのあとで考えるほうが落ち着きます。
