年金の話題というと受給額に目が向きがちですが、2025年に制度そのものが大きく変わりました。

2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しています。

この記事では、この改正で何が変わるのかを5つの柱に整理したうえで、すでに年金だけで暮らしている世帯にとってどういう位置づけの改正なのかを確認します。

ココがポイント
  • 2025年の年金制度改正は、社会保険の加入対象の拡大・在職老齢年金・遺族年金・賃金の上限・その他の5つが柱
  • 改正内容は現役世代と働くシニアに関わるものが中心になっている
  • 一方で、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の41.3%は総所得のすべてが年金・恩給

なお、2026年度の年金額と改正の位置づけについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。

来月6月支給分より【老齢基礎年金は月7万608円へ】国民年金・厚生年金《60歳~90歳以上》いまどきシニアの平均はいくら?男女別年金グラフつき
来月6月支給分より【老齢基礎年金は月7万608円へ】国民年金・厚生年金《60歳~90歳以上》いまどきシニアの平均はいくら?男女別年金グラフつき

1. 2025年の年金制度改正で変わる5つのこと

厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」から、主な改正内容を順に見ていきます。

1.1 働き方に関わる3つの見直し

1つ目は社会保険の加入対象の拡大です。中小企業において短時間で働く人などが厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにするものです。

2つ目は在職老齢年金の見直しで、年金を受け取りながら働くシニアが減額されにくくなり、より多く働けるようにします。3つ目は保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げで、月収が一定以上の人が賃金に応じた保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする内容です。

1.2 遺族年金とその他の見直し

4つ目は遺族年金の見直しです。遺族厚生年金の男女差を解消し、子どもが遺族基礎年金を受給しやすくします。

5つ目はその他の見直しで、子どもの加算や脱退一時金の見直しに加えて、私的年金の見直しとしてiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入年齢の上限引き上げなどが含まれます。

5つの柱のうち4つは、働くことと保険料に関わる内容です1/2

5つの柱のうち4つは、働くことと保険料に関わる内容です

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」をもとにLIMO編集部作成

2. 改正の中心は現役世代と働くシニアにある

5つの柱を並べると、どこに向けた改正なのかが見えてきます。

2.1 受け取っている年金額を直接動かす内容ではない

社会保険の加入対象の拡大は、これから厚生年金に入る人の話です。賃金の上限の引き上げも、これから保険料を納める人の話になります。

在職老齢年金の見直しは年金を受け取りながら働く人が対象で、遺族年金の見直しは受給の要件に関わるものです。つまり、いま年金だけで暮らしている人の受給額がこの改正で直ちに変わるわけではありません。

2.2 公的年金は現役時代からの設計と結びついている

厚生労働省はこの改正について、多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものだとしています。私的年金制度の拡充や所得再分配の強化によって、シニアの暮らしの安定につなげることも狙いに挙げられています。

公的年金は老後の受給額だけの話ではなく、現役世代からの人生設計と結びついているということになります。

中本 智恵

改正の内容を見ていくと、対象が現役世代と働くシニアに寄っていることが分かります。すでに受け取っている人にとっては、いま何が支えになっているのかを確かめる機会として読むほうが役に立ちます。