年金の平均額を見ても、自分の家庭に置き換えるとなると急に難しくなります。夫婦なのか一人なのか、会社員だったのか自営業だったのかで、世帯に入る金額はまったく違ってきます。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は男性16万9967円、女性11万1413円でした。国民年金は男性6万1595円、女性5万7582円です。この4つの数字を組み合わせると、世帯ごとのおおよその姿が見えてきます。
この記事では、夫婦2人・単身それぞれのパターンで月額の合計がいくらになるのかを整理し、あわせて数字を読むときの注意点を確認していきます。
なお、公的年金の平均受給額や標準的な夫婦世帯の年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 共働きで2人とも厚生年金なら合計28万1380円、会社員の夫と国民年金の妻なら22万7549円
- 自営業の夫婦2人はどちらも国民年金で、合計11万9177円
- 単身は厚生年金の女性で11万1413円、国民年金の女性で5万7582円と幅が大きい
1. 【厚生年金と国民年金】まずは4つの平均年金月額をそろえる
世帯の合計を出す前に、土台になる数字を確認していきます。ここで使うのは令和6年度末時点の平均月額です。
1.1 厚生年金は男性16万9967円、女性11万1413円
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の平均月額は次のとおりです。厚生年金の金額には国民年金(老齢基礎年金)が含まれています。
- 厚生年金:総数15万289円/男性16万9967円/女性11万1413円
- 国民年金:総数5万9310円/男性6万1595円/女性5万7582円
この水準については、【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。
厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
1.2 厚生年金の男女差は月5万8554円
厚生年金では男性と女性で月5万8554円の開きがあります。男性は女性の約1.5倍です。一方、国民年金の男女差は月4013円にとどまります。
国民年金は納付月数で決まる仕組みですので、性別による差が出にくくなっています。厚生年金は現役期の報酬と加入期間で決まるため、働き方の違いがそのまま金額の差になって表れます。
2. 【夫婦世帯の老後の年金月額】2人の合計はパターンで大きく変わる
ここからは、上の4つの数字を組み合わせて世帯の合計を見ていきます。あくまで男女別の平均を足し合わせた目安であり、実在する世帯の平均そのものではない点を先にお断りしておきます。
2.1 共働き夫婦は平均で月28万1380円
夫婦2人の組み合わせを3パターンで計算すると、次のようになります。
- 2人とも厚生年金(共働き):16万9967円+11万1413円=28万1380円
- 夫が厚生年金・妻が国民年金:16万9967円+5万7582円=22万7549円
- 2人とも国民年金(自営業など):6万1595円+5万7582円=11万9177円
共働きと自営業夫婦では、月16万2203円の差になります。年間では194万円を超える開きです。
同じ夫婦2人でも、加入していた制度の組み合わせで合計額は倍以上変わります1/2
出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
2.2 国のモデル世帯は23万7279円
比較の材料として、国が示している標準的な夫婦世帯の金額も見ておきます。「【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説」から引用します。
- 国民年金(老齢基礎年金):7万608円(1人分)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分)
出所:【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説
令和8年度のモデル世帯は23万7279円です。先ほどの「夫が厚生年金・妻が国民年金」の22万7549円に近い水準で、共働き世帯の28万1380円よりは低くなります。
3. 単身世帯は幅がいちばん大きい
65歳以上の単独世帯は33.8%を占めており、夫婦のみ世帯の32.0%を上回っています。世帯の形としてはもっとも多い層です。
3.1 厚生年金の女性で月11万1413円
単身の場合、世帯の収入はそのまま本人1人分の年金額になります。
- 厚生年金・男性:16万9967円
- 厚生年金・女性:11万1413円
- 国民年金・男性:6万1595円
- 国民年金・女性:5万7582円
いちばん高い厚生年金の男性と、いちばん低い国民年金の女性では、月11万2385円の差があります。同じ「単身の高齢者」でも、家計の前提はまったく違うということです。
単身は加入制度と性別の組み合わせで、月11万円を超える幅があります2/2
出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」「2025年 国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成
3.2 2人分が1人分になっても生活費は半分にならない
夫婦2人の世帯が単身になると、年金は片方の分だけになります。ただし住居費や光熱費の基本料金は人数に比例して減るわけではないため、1人当たりの負担感はむしろ重くなります。
配偶者が亡くなった場合には遺族厚生年金が支給されることもありますが、要件や金額は個別に異なります。詳細は年金事務所で確認してください。
世帯の合計で見ると、平均額よりも自分に近い姿がつかめます。ただ、いま夫婦であっても将来ずっと2人分とは限りません。1人になったときの金額も一度計算しておくと、準備すべき額が具体的になります。遺族厚生年金についても受給要件などがありますので、現役時代のうちから制度の詳細を確認するようにしましょう。


