7. 月10万円は物価3%で30年後にいくらの価値になるのか
ここでは年金月額10万円(年120万円)が、物価上昇率3%で30年推移した場合の実質的な価値を試算します。いまの10万円で買えるものを基準にした金額です。
今回の前提のなかで、目減りが最も大きくなる組み合わせです。
7.1 【試算】物価3%が30年続いた場合の実質価値
- 現在の年金:月10万円/年120万円
- 物価上昇率:年3%
- 経過年数:30年
- 実質価値:年49万4384円(月4万1199円相当)
- 目減り:58.8%(月5万8801円相当の減少)
年金月10万円が物価3%で30年後に持つ実質的な価値10/10
出所:LIMO編集部作成
30年後には実質4万1199円相当となり、目減りは58.8%です。月あたり5万8801円分の価値が減る計算になります。
※月10万円が据え置かれたまま物価だけが年3%上がった場合の実質価値です。実際の年金額は毎年度見直されますが、マクロ経済スライドによって上昇率が物価を下回ることもあります。
6割近い目減りです。ただし年金額も改定されるため、この数字がそのまま実現するわけではありません。
7.2 【3%が30年】半減する時期はもっと手前にある
物価が年3%で上がり続けると、価値が半分になるのは約23年後です。30年後は、その半減点をさらに越えた水準にあたります。
65歳から数えると88歳ごろが半減の時期です。長生きを前提にすれば、視野に入る年数といえます。
1%なら約70年、2%なら約35年でした。上昇率の差が、そのまま期間の差になります。
ねんきん定期便で見込額を確かめ、物価の前提を1%から3%まで振って考えてみてください。
8. 年金の実質価値は物価3%の30年で6割近く目減り
ライフコース別の年金額は女性で月6万1771円から13万4640円、男性で月6万3513円から17万6793円でした。
年代別に見ると、厚生年金は上の世代ほど高く、国民年金は世代差がほとんどありません。全年齢の平均は厚生年金が15万289円、国民年金が5万9310円です。
月10万円の年金は物価3%が30年続くと実質4万1199円相当になります。物価の前提を変えて、いくつかのパターンで確かめてみてください。
参考資料
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
石津 大希