雇用保険の基本手当日額などが2026年8月1日から引き上げられました。令和7年度の平均給与額が令和6年度と比べて約2.7%上昇したことと、最低賃金日額の適用にともなう改定です。

60歳以上65歳未満の方が受け取れる基本手当日額の上限は、これまでの7623円から7830円になりました。下限額も全年齢共通で2411円から2562円へと引き上げられています。

退職を考え始めたとき、失業給付は「結局いくら受け取れるのか」がわかりにくいと感じる方は少なくないでしょう。この記事では、2026年8月に改定された基本手当日額の水準と、受け取れる期間の考え方、そして65歳以上で退職した場合の給付について確認していきます。

ココがポイント
  • 2026年8月1日から基本手当日額が改定。60歳以上65歳未満の上限は7623円から7830円へ
  • 下限額は全年齢共通で2411円から2562円に引き上げ。上げ幅は約6.3%で上限額より大きい
  • 65歳以上で退職した場合は基本手当ではなく、一時金の高年齢求職者給付金が支給される

1. 2026年8月1日から基本手当日額が引き上げられた

そもそも雇用保険の基本手当日額は、毎月勤労統計の平均定期給与額の変動に応じて、毎年8月1日に見直される仕組みです。

2026年の改定では、令和7年度の平均給与額が前年度比で約2.7%上昇したことを受けて、上限額と下限額の両方が引き上げられました。

1.1 上限額は離職時の年齢によって4つに分かれる

基本手当日額の上限額は、離職時の年齢によって4つの区分に分かれています。2026年8月1日からの金額は次のとおりです。

  • 30歳未満:7255円 → 7450円(+195円)
  • 30歳以上45歳未満:8055円 → 8270円(+215円)
  • 45歳以上60歳未満:8870円 → 9110円(+240円)
  • 60歳以上65歳未満:7623円 → 7830円(+207円)

離職時の年齢による4区分と、2026年8月1日改定後の上限額1/2

基本手当日額の上限額(2026年8月1日改定)年齢区分別の新旧比較

出所:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更(令和8年8月1日から)」をもとにLIMO編集部作成

上限額がもっとも高いのは45歳以上60歳未満の区分で、9110円です。60歳以上65歳未満の区分は7830円と、45歳以上60歳未満よりも低い水準に設定されています。

1.2 下限額は2411円から2562円に上がった

下限額は年齢による区分がなく、全年齢に共通して適用されます。2026年8月1日から、2411円が2562円になりました。賃金が低かった方であっても、基本手当日額がこの下限額を下回ることはありません。

2. 失業給付は「いくら・いつまで」受け取れるのか

上限額と下限額がわかっても、実際のところ「自分がいくら受け取れるのか」が気になるところでしょう。ここでは金額と期間の決まり方を見ていきます。

2.1 1日あたりの額は賃金日額のおよそ50〜80%で決まる

基本手当日額は、離職前6ヶ月に支払われた賃金をもとに計算した賃金日額に、一定の給付率をかけて決まります。ハローワークインターネットサービスによると、給付率は賃金日額のおよそ50〜80%です。60歳以上65歳未満については45〜80%となっています。

賃金が低かった方ほど給付率が高くなる仕組みで、計算した額が上限額を超える場合は上限額が適用されます。

2.2 受け取れる日数は離職理由と加入期間で変わる

基本手当を受け取れる日数は所定給付日数と呼ばれ、離職理由と雇用保険の被保険者であった期間、そして年齢によって決まります。

自己都合など一般の離職者の場合は、被保険者期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。年齢による差はありません。

一方、倒産や解雇などによる特定受給資格者の場合は、ここに年齢区分が加わります。たとえば45歳以上60歳未満で被保険者期間が20年以上あれば330日、60歳以上65歳未満で20年以上あれば240日です。

離職理由と被保険者であった期間で決まる、所定給付日数の目安2/2

基本手当の所定給付日数の目安。一般の離職者と特定受給資格者の比較

出所:厚生労働省ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」をもとにLIMO編集部作成

2.3 自己都合退職の給付制限は原則1ヶ月になった

正当な理由がない自己都合で退職した場合、7日間の待期期間のあとに給付制限期間が設けられます。厚生労働省によると、2025年4月1日以降に離職した方の給付制限期間は原則1ヶ月です。2025年3月31日以前に離職した方の原則2ヶ月から短縮されました。

ただし、離職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格決定を受けている場合などは3ヶ月となります。過去に退職していても、失業給付の受給資格決定まで受けていなければ回数には含まれません。自分がどの扱いになるかは、ハローワークの窓口で確認しておくと安心です。

3. 65歳以上で退職した場合は「高年齢求職者給付金」が支給される

ここまでは65歳未満の方を対象とした基本手当の話でした。65歳以上で退職した場合は、支給される給付の名前も受け取り方も変わります。

3.1 被保険者期間1年以上なら50日分、1年未満なら30日分になる

65歳以上の被保険者は高年齢被保険者と呼ばれ、失業した場合には高年齢求職者給付金が支給されます。支給額は、被保険者であった期間が1年以上であれば基本手当日額の50日分、1年未満であれば30日分です。

3.2 基本手当と違い、一時金でまとめて受け取る

基本手当が失業の認定を受けながら数ヶ月にわたって支給されるのに対し、高年齢求職者給付金は一時金として一括で支給されます。まとまった額を早く受け取れる点は利点ですが、支給日数は最大でも50日分にとどまります。

基本手当のように長期間の生活費を支える性格のものではないため、退職後の家計を組み立てる際はこの違いを前提に考えておく必要があります。

なお、給付制限がかかるのは基本手当だけではありません。厚生労働省群馬労働局のリーフレットによると、正当な理由がない自己都合で退職した場合、基本手当と高年齢求職者給付金のどちらにも給付制限期間が設けられます。

一時金だからすぐ受け取れるとは限りません。退職の理由によって受け取れる時期が変わる点は、あらかじめ押さえておきたいところです。

太田 彩子

自治体で国民健康保険と後期高齢者医療の保険料を計算していた頃、退職した翌年度の保険料の通知を受け取って窓口に来られる方が毎年いました。失業給付でいくら入ってくるかと同じくらい、退職後に出ていくお金も先に確かめておくと安心です。