厚生年金の平均は月15万289円と示されますが、住んでいる地域によって平均額はかなり違います。同じ「平均」でも、都道府県をまたぐと4万円以上の開きがあります。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均年金月額が最も高いのは神奈川県の17万457円、最も低いのは青森県の12万8129円でした。その差は4万2328円です。
この記事では都道府県別の水準を確認したうえで、なぜ差が生まれるのか、そして65歳以降に自分で動かせる部分があるのかを見ていきます。
- 厚生年金の平均年金月額は全国で15万289円。最高の神奈川県17万457円と最低の青森県12万8129円では4万2328円の差がある
- 差が生まれるのは現役時代の報酬と加入期間で決まるしくみのため。住んでいる場所そのもので決まるわけではない
- 70歳未満なら65歳以降も原則として厚生年金の被保険者になるが、70歳になると資格を失う
なお、公的年金の仕組みや平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 厚生年金の全国平均は月15万289円
まず全体の水準を確認します。ここで扱うのは、民間企業などに勤めていた人が受け取る厚生年金保険(第1号)の年金月額で、国民年金の月額部分を含んだ金額です。
1.1 男女で5万8554円の差がある
全受給権者の平均年金月額は15万289円でした。男女別では男性が16万9967円、女性が11万1413円で、差は5万8554円です。
この平均額と男女差については、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。
厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
1.2 平均だけを見ると実態を取り違えやすい
平均という1つの数字は、分布の幅を見えなくします。この点について、LIMOの記事「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」では次のように指摘されています。
平均受給額のデータを見ると「自分も14万〜16万円もらえる」と錯覚しがちですが、ボリュームゾーンは大きくバラついています。
出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
個人差だけでなく、都道府県による差もあります。次で具体的な数字を見ていきます。
2. 平均が高い都道府県と低い都道府県
同じ調査から、都道府県別の平均年金月額を確認します。上位と下位をそれぞれ5つずつ挙げます。
2.1 高いのは神奈川・千葉・東京
平均年金月額が高い上位5都県は、神奈川県が17万457円、千葉県が16万5103円、東京都が16万3892円、奈良県が16万2292円、埼玉県が16万1752円でした。
首都圏が並ぶなかで、奈良県が4位に入っている点が目を引きます。
2.2 低いのは青森・沖縄・宮崎
一方、平均年金月額が低い5県は、青森県が12万8129円、沖縄県が12万8819円、宮崎県が12万9224円、秋田県が12万9503円、山形県が13万1169円でした。
1位の神奈川県と47位の青森県を比べると、差は月4万2328円です。年間に直すと50万7936円になります。地域による開きは小さいとはいえません。
3. 差が生まれるのは報酬と加入期間で決まるから
ここで押さえておきたいのは、厚生年金の受給額が住んでいる場所で決まるわけではないという点です。差が出る理由は計算のしくみにあります。
3.1 報酬比例部分は2つの式の合計
厚生年金の報酬比例部分は、現役時代の報酬と加入期間の月数から計算されます。2003年3月以前と2003年4月以降で式が分かれており、その合計が受給額になります。
2003年3月以前は「平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数」、2003年4月以降は「平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数」です。
3.2 現役時代の働き方の違いが地域差に表れる
都市部では賃金水準が高い傾向があり、地域によって自営業や共働き世帯の比率も異なります。こうした現役時代の働き方の違いが、平均年金月額の差として表れているということです。
なお国民年金(老齢基礎年金)は保険料を納付した月数で決まるため、地域による格差は厚生年金ほど大きくありません。全国平均は5万9431円で、多くの都道府県が5万円台から6万円台に収まっています。
厚生年金における”地域差”は過去の働き方が集まった結果です。ご自身の見込額とは別の数字だと切り分けて見ておきましょう。




