年金生活者支援給付金という制度がスタートしてからもうすぐ7年経ちます。耳にしたことがある方も増えてきたでしょう。ただ、この給付金が3種類に分かれていることは、あまり知られていません。
日本年金機構によると、老齢・障害・遺族の3種類があり、それぞれ支給の要件が異なります。
とくに大きく違うのが世帯の扱いで、老齢には世帯全員が市町村民税非課税であるという要件がある一方、障害と遺族の支給要件にはこの条件が含まれていません。
この記事では、3種類それぞれの令和8年度の金額と、障害・遺族の支給要件がどう定められているのかを順に確認していきます。
- 年金生活者支援給付金は老齢・障害・遺族の3種類。令和8年度は3.2%の引き上げ
- 障害は1級7025円・2級5620円、遺族は5620円。いずれも定額
- 障害・遺族の支給要件は2つだけで、世帯全員が非課税という条件は含まれていない
なお、年金生活者支援給付金の基本的なしくみについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 年金生活者支援給付金は3種類ある
まずは年金生活者支援給付金の全体像から確認していきます。この給付金は、受けている基礎年金の種類に合わせて分かれています。
1.1 【種類】老齢・障害・遺族の3つ
老齢基礎年金を受けている方には老齢年金生活者支援給付金、障害基礎年金を受けている方には障害年金生活者支援給付金、遺族基礎年金を受けている方には遺族年金生活者支援給付金があります。
いずれも2カ月に一度、年金と同じ日に、年金とは別に振り込まれます。
この点について、LIMOの記事「【増額が決定!】2026年4月分からの「年金生活者支援給付金」給付基準額はいくらに?《支給対象になる人》や手続き方法を解説」から要点を引用しておきます。
老齢・障害・遺族の各基礎年金に上乗せされる形で、2カ月に一度、年金と同じ日に支給されます。給付額は公的年金と同様に、毎年度の物価変動などを反映して見直される仕組みです。
出所:【増額が決定!】2026年4月分からの「年金生活者支援給付金」給付基準額はいくらに?《支給対象になる人》や手続き方法を解説
1.2 令和8年度は3.2%の引き上げ
日本年金機構によると、令和8年4月分からの給付基準額は物価変動率を用いて改定され、令和7年度と比べて3.2%の引き上げとなりました。
障害年金生活者支援給付金は、障害等級1級が月額7025円、2級が月額5620円です。遺族年金生活者支援給付金は月額5620円で、2人以上の子が遺族基礎年金を受けている場合は、5620円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われます。
老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5620円ですが、こちらは性格が異なります。保険料納付済期間に応じて按分されるためです。
2. 受給件数では障害年金生活者支援給付金が3割近くを占める
実際にどれくらいの方が受けているのかも見ておきます。厚生労働省の令和6年度の概況から、令和7年3月時点で認定されている件数は以下のとおりです。
2.1 障害年金生活者支援給付金は217万7166件
総数781万9978件の内訳は、老齢が450万4441件、補足的老齢が106万664件、障害が217万7166件、遺族が7万7707件です。
構成比にすると老齢と補足的老齢を合わせて71.2%、障害が27.8%、遺族が1.0%となります。障害は3割近くを占めており、決して例外的な区分ではありません。
平均月額は老齢が4146円、補足的老齢が2177円、障害が5727円、遺族が5228円でした。障害が3区分のなかで最も高くなっています。
年金生活者支援給付金の区分別にみた認定件数と平均給付月額/0
出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
3. 障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金は本人の所得だけで判定する
ここからが、老齢年金生活者支援給付金との違いがはっきりする部分です。支給要件の立て方が根本的に異なります。
3.1 支給要件は2つだけ
障害年金生活者支援給付金の支給要件は、障害基礎年金を受けていることと、前年の所得が基準額以下であることの2つです。遺族年金生活者支援給付金も、遺族基礎年金を受けていることと、前年の所得が基準額以下であることの2つになります。
市町村民税や世帯に関する条件は含まれていません。
これに対して老齢年金生活者支援給付金には「請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税となっている」という要件があります。世帯と本人の二重で判定される形です。
3.2 所得の基準額は479万4000円に扶養親族の数を加算する
障害・遺族の所得の基準額は、479万4000円に扶養親族の数を掛けた38万円を足した額です。老齢の80万9000円とは水準が大きく異なります。
扶養親族による加算は、通常の扶養親族が38万円、70歳以上の同一生計配偶者や老人扶養親族が48万円、特定扶養親族と16歳以上19歳未満の扶養親族が63万円です。
あわせて押さえておきたいのが、受けている年金の扱いです。日本年金機構は「障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません」としています。障害基礎年金や遺族基礎年金そのものは、所得として数えられません。
老齢と、障害・遺族の支給要件の違い/0
出所:日本年金機構および厚生労働省の公表資料をもとにLIMO編集部作成
筆者が自治体で住民税の課税情報を参照しながら保険料を計算していた頃、「世帯全員が非課税」という条件の厳しさは実感していました。同居している家族に課税されている方が1人でもいると、その条件は満たせなくなるためです。
障害と遺族の給付金は、この条件が要件に入っていません。ご自身がどの区分にあたるかを、まず確かめてみてください。


