定年まで勤めたら退職金はいくらもらえるのか。老後の生活設計を考えるうえで、気になっている方は多いのではないでしょうか。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、定年退職した方の退職給付額は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1896万円でした。一方で、退職給付の制度そのものがある企業は74.9%にとどまり、5年前の80.5%から下がっています。

この記事では、会社員の退職金が学歴や退職の理由でどう変わるのかを確認し、制度がある企業の割合、そして国家公務員との比較まで順に見ていきます。

なお、老後夫婦の家計収支に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
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ココがポイント
  • 定年退職の退職給付額は大学・大学院卒で1896万円、高校卒(管理・事務・技術職)で1682万円
  • 自己都合退職では大学・大学院卒でも1441万円まで下がる
  • 退職給付制度がある企業は74.9%。30人から99人の企業では70.1%にとどまる

1. 会社員の退職金はいくらか

まずは金額から確認していきます。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」は、勤続20年以上かつ45歳以上で退職した方について、1人あたりの平均退職給付額を集計しています。退職一時金と退職年金を合わせた金額です。

1.1 定年退職の平均は大学・大学院卒で1896万円

定年で退職した方の退職給付額は、学歴と職種によって次のように分かれます。

  • 大学・大学院卒(管理・事務・技術職):1896万円
  • 高校卒(管理・事務・技術職):1682万円
  • 高校卒(現業職):1183万円

いわゆる「老後2000万円」という言葉が知られていますが、定年退職の平均額はそこにわずかに届いていません。学歴と職種による差は、大学・大学院卒と高校卒(現業職)で713万円あります。

定年退職の退職給付額は、会社員の大学・大学院卒で1896万円、国家公務員で2160万1000円です1/3

定年退職者の退職給付額を会社員の学歴別と国家公務員で比較した図

出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」および内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況(令和6年度)」をもとにLIMO編集部作成

1.2 退職の理由で金額は大きく変わる

同じ調査では、退職の理由別にも集計されています。大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で見ていきましょう。

  • 定年:1896万円
  • 早期優遇:2266万円
  • 会社都合:1738万円
  • 自己都合:1441万円

最も高いのは早期優遇退職で、定年よりも370万円ほど多くなっています。反対に自己都合退職は1441万円で、定年と比べると455万円の差です。

高校卒(管理・事務・技術職)では、定年1682万円に対して自己都合1280万円、高校卒(現業職)では定年1183万円に対して自己都合921万円でした。どの区分でも、自己都合退職は定年退職を下回る形になっています。

同じ学歴でも、退職の理由によって金額は大きく変わります2/3

退職事由別・学歴別にみた会社員の退職給付額

出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」をもとにLIMO編集部作成

2. そもそも退職金がない会社もある

ここまで平均額を見てきましたが、退職給付の制度自体がない企業もあります。金額の前に、まず制度の有無を押さえておく必要があります。

2.1 制度がある企業は74.9%

令和5年の調査では、退職給付(一時金・年金)制度がある企業は74.9%でした。平成30年の調査では80.5%でしたので、5年間で5.6ポイント下がっています。

制度の内容を見ると、制度がある企業のうち退職一時金制度のみが69.0%、退職年金制度のみが9.6%、両方を併用しているのが21.4%です。多くの企業では一時金の形で支払われています。

2.2 企業規模による差がある

制度がある企業の割合を規模別に見ると、次のようになります。

  • 1000人以上:90.1%
  • 300人以上999人以下:88.8%
  • 100人以上299人以下:84.7%
  • 30人以上99人以下:70.1%

1000人以上の企業では9割を超える一方、30人以上99人以下では7割ほどです。勤務先の規模によって、退職金を前提にできるかどうかが変わってきます。

退職給付制度がある企業は74.9%。企業規模が小さいほど割合は下がります3/3

企業規模別にみた退職給付制度がある企業の割合と5年前との比較

出所:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」をもとにLIMO編集部作成

3. 【退職金】公務員と比べるとどうなるのか

会社員の退職金がわかったところで、比較の対象としてよく挙がる公務員も見ておきましょう。ここでは国家公務員の数字を使います。

3.1 国家公務員の定年退職は2160万1000円

内閣官房内閣人事局の「退職手当の支給状況」によると、令和6年度に定年退職した常勤職員の退職手当は平均2160万1000円でした。会社員の大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の1896万円と比べると、264万1000円ほど高い水準です。

ただし、国家公務員も全体の平均で見ると1094万3000円にとどまります。自己都合退職の平均は345万4000円で、会社員の1441万円を大きく下回りました。定年まで勤め上げるかどうかで結果が変わるのは、公務員も同じということです。

退職金を取り崩しながら暮らす老後の家計については、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

収入の内訳を見ると、合計25万4395円のうち、公的年金などの社会保障給付が22万8614円と約9割を占めています。一方、支出は消費支出と非消費支出を合わせて29万6829円です。

出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

3.2 制度があることは前提にできる

会社員との違いとして押さえておきたいのは、公務員には退職手当の制度が法令で定められている点です。会社員の場合は、まず制度があるかどうかから確認する必要があります。

もっとも、公務員の退職手当の水準はおおむね5年ごとに民間の実態調査を踏まえて見直されることになっています。民間の水準が下がれば、公務員側も影響を受ける仕組みです。

太田 彩子

退職金の話になると、平均額がいくらかに関心が集まりがちです。ただ、会社員の場合はまず自分の勤務先に制度があるのか、あるとしてどの計算方法なのかを知るところが出発点になります。就業規則や退職金規程で確認できますので、一度目を通してみてください。