基礎年金は全員に共通する土台で、厚生年金は現役時代の収入と加入期間に応じて上に積まれます。この積み上がり方の差が、受け取る総額を分けています。
本記事では、65歳以上・単身無職世帯の収支と、加入経歴別に示された2026年度の年金月額の内訳について解説します。
なお、65歳以上・単身無職世帯の家計収支と加入経歴別の年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 年金月額に厚生年金部分が占める割合は最も高いモデルで60.4%
- 最も低いモデルでは11.8%にとどまり、基礎年金がほぼすべてを占める
- 単身無職世帯は社会保障給付12万212円が消費支出14万8445円に2万8233円届かない
1. 年金などの社会保障給付12万212円は消費支出14万8445円に届かない
年金の中身を見る前に、単身世帯の収支を押さえます。LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用します。
65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
年金などの社会保障給付12万212円は実収入の91.4%を占めます。ただし日々の生活費である消費支出14万8445円と並べると、2万8233円足りません。
税や社会保険料を計算に入れる前の段階で生活費に届いていないため、いくら年金を受け取れるかが家計の水準を左右します。以下ではその年金額の中身を見ていきます。
2. 年金の中身は厚生年金部分が6割のモデルから1割強まで分かれる
内訳を見る前に、2026年度の年金額がどの水準にあるのかを押さえておきます。
2.1 2026年度の年金額は国民年金7万608円・厚生年金23万7279円
国民年金(基礎年金)は前年度比1.9%、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%の引き上げとなり、日本年金機構が次の水準を示しています。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分):23万7279円(+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
ここで押さえておきたいのは、年金額が2つの部分の合計だという点です。全員に共通する基礎年金が土台にあり、その上に収入と加入期間に応じた厚生年金が積まれます。
2.2 厚生労働省の5つのモデルで内訳を確かめる
厚生労働省は年金額の改定にあわせ、加入経歴を男性2通り・女性3通りに整理した年金額例を公表しました。以下は「2026年度に65歳になる人」を想定した概算で、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から引用しています。

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
2.3 男性・厚生年金中心の17万6793円は厚生年金部分が60.4%
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
厚生年金10万6842円が総額の60.4%を占めます。5つのモデルのなかで、上に積まれた部分が土台を超えているのはこのケースだけです。
2.4 男性・国民年金中心の6万3513円は厚生年金部分が23.0%まで下がる
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
加入期間が7.6年だと、上に積まれる厚生年金は1万4617円です。総額の4分の1を下回り、金額の大半は基礎年金で占められます。
2.5 女性・厚生年金中心の13万4640円は厚生年金部分が46.6%
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
加入期間33.4年で、厚生年金部分は総額のおよそ半分です。基礎年金と厚生年金がほぼ均衡している形になります。
2.6 女性・国民年金中心の6万1771円は厚生年金部分が14.0%にとどまる
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
厚生年金部分は8652円で、総額の14.0%です。加入期間が6.5年にとどまるため、上に積まれる金額もわずかになります。
2.7 第3号被保険者中心の7万8249円は厚生年金部分が11.8%
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
5つのモデルで最も低い11.8%です。第3号被保険者の期間は保険料の負担なく基礎年金に反映されるため、土台は確保される一方で上積みは小さくなります。
並べてみると、厚生年金部分が総額に占める割合は60.4%から11.8%まで5倍以上開いています。合計額の差は、この上積み部分の差がそのまま表れた結果です。
基礎年金だけは納付期間に応じて誰にでも積み上がります。厚生年金の期間が短い場合、老後の年金は基礎年金が土台のほぼすべてを担う形になるわけですね。


