3. バリュエーション評価:上場来高値更新後の日本郵船株はどんな水準にあるのか

株価が上場来高値を更新し続けるなか、割高感がないかも気になるところです。2026年8月21日の取引終了時点の指標を見ると、PER(会社予想)は11.95倍、PBR(実績)は0.92倍、配当利回り(会社予想)は3.38%となっています。

年初来高値(上場来高値)は同日に更新した7,137円、年初来安値は2026年1月27日の4,906円で、終値の7,101円は年初来安値からおよそ45%高い水準まで買われてきたことになります。

PBRは依然として1倍を下回っており、簿価に対する株価の割高感は大きくない一方、PERは決算の大幅増益を織り込んだうえでの水準です。前述の通り、通期の業績予想はホルムズ海峡封鎖の継続を前提にしており、この前提が崩れた場合は業績見通しとあわせて株価指標の前提も変わり得る点は踏まえておきたいところです。

日本郵船の12カ月チャート1/1

日本郵船の12カ月チャート

出所:各データより筆者作成

4. 記者コメント

日本郵船の株価上昇は、中東情勢という外部要因への思惑買いの側面が強いですが、その背景には1Q決算での大幅増収増益、通期業績予想・配当予想の上方修正という実際の業績改善も伴っています。

ただし今回の通期予想はホルムズ海峡封鎖の継続を前提にしたものであり、情勢が想定と異なる方向に推移すれば、エネルギー・ドライバルク事業の追い風、自動車・物流事業の逆風という現在の構図自体が変わる可能性があります。

海運株はかつて、コンテナ船市況の急騰を背景に配当利回りの高さで注目を集め、高配当株の筆頭格として名前が挙がることが多い銘柄でした。しかしその後は、市況の落ち着きに伴う減配や、株価上昇による利回りの低下から、高配当株としての存在感がやや薄れていた時期もありました。

今回のように海運セクター全体に追い風が吹き、増配に転じたことで、日本郵船をはじめとする海運株が高配当株として改めて注目されつつある面もあるのではないでしょうか。

一方で、他の高配当株として知られる銘柄の中には、株価上昇によって配当利回りが低下し、割高感が意識され始めているケースも見られます。海運株が相対的に見直されている背景には、業績や配当の改善だけでなく、高配当株全体の中での相対的な魅力度の変化も影響しているとも考えられます。

海運株は市況・地政学要因による変動が大きい業種であるだけに、株価の動きだけでなく、今後の決算でセグメント別の状況がどう変化するかにも注目していきたいところです。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください

参考資料

 

高原 祥子