「毎月の給与明細を見るたびに、厚生年金保険料の高さにため息が出る」という方は多いのではないでしょうか。

年収500万円の会社員の場合、本人が負担する厚生年金保険料は年間で約45.8万円にのぼります。しかも、同じ金額を会社も負担しているため、世の中に納められている総額は年間で約91.5万円という試算になります。

「老後に受給額が増えるのは理解できても、今この瞬間の手取りが減る負担感の方が重すぎる」「数十年後の安心より、今の生活費の圧迫に納得がいかない」というのが、多くの方の本音ではないでしょうか。

しかし厚生年金には、国民年金だけでは得られない手厚い保障が組み込まれています。

この記事では、保険料が高く感じる理由と、その裏側にある3つの恩恵、そして負担を抑える工夫について整理していきます。

ココがポイント
  • 年収500万円の場合、厚生年金保険料は本人負担分だけで年間約45.8万円(会社負担分と合わせると約91.5万円)
  • 厚生年金には「老後の受給額増」「障害年金の手厚さ」「遺族年金の対象範囲の広さ」という3つの恩恵がある
  • iDeCoの活用や4~6月の残業調整など、手取りを増やす・保険料を抑える工夫も存在する

1. なぜ「保険料が高すぎる」と感じるのか

厚生年金保険料は、給与から天引きされる社会保険料の中でも特に負担感が大きい項目です。まずは、その負担感の正体を整理してみましょう。

1.1 手取りを圧迫する天引きの大きさ

厚生年金保険料率は18.300%で、会社と本人が9.150%ずつ負担する「労使折半」の仕組みです。

年収500万円であれば、本人負担分は年間で約45.8万円、月あたりでは約3.8万円にのぼります。これに健康保険料・介護保険料(40歳以上)・雇用保険料、さらに所得税・住民税を合わせると、給与の額面から2割超が天引きされる計算になり、手取りへの圧迫感につながります。

厚生年金保険料は会社と本人が同額ずつ負担する仕組みです(年収500万円の場合の試算)1/3

厚生年金保険料の労使折半のイメージ

出所:日本年金機構「厚生年金保険料額表(令和8年度版)」よりLIMO編集部作成

1.2 「会社が半分払っている」のに負担感が消えない理由

厚生年金保険料は会社と折半とはいえ、会社が負担する分も本来は人件費の一部です。「会社が半分持ってくれている」という制度上の建て付けと、「実質的には自分の労働の対価から出ている」という感覚のズレが、負担感を大きくしている面があります。

1.3 少子高齢化への漠然とした不安

「将来、自分たちの世代は元が取れないのではないか」という不安も、負担感を強める一因です。ただし、厚生年金は単なる貯蓄ではなく、老後の年金だけでなく在職中の障害や死亡までカバーする保険としての側面を持っています。次の章で、その具体的な中身を確認していきましょう。

和田 直子

「厚生年金保険料が高い」という声は多く聞かれます。ただ、給与明細の天引き額だけを見ていると、保険としての保障範囲まで意識が向きにくいのも事実です。まずは「何にいくら払っていて、その見返りに何が保障されているのか」を分けて考えることが、納得感を持つ第一歩だと感じています。