物価の上昇が続くなかで、年金収入を軸に暮らす世帯の家計は年々やりくりが難しくなっています。総務省の家計調査では、65歳以上の単身無職世帯で毎月の収支が赤字になる状況が続いていることが示されています。
公的年金は2026年度に国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%引き上げられました。ただし実際に受け取れる金額は現役時代の加入歴や収入によって大きく変わるため、平均額だけでは自分の家計を見通しにくいのが実情です。
本記事では、65歳以上の単身無職世帯の家計収支と、多様なライフコースに応じた2026年度の年金月額について解説します。
なお、65歳以上の単身無職世帯の家計収支と2026年度の年金額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 65歳以上の単身無職世帯は、毎月2万9980円が不足している計算
- 2026年度の年金額は国民年金が7万608円、厚生年金は夫婦2人分で23万7279円
- ライフコース別の年金月額は6万1771円から17万6793円まで開きがある
1. 年金収入だけでは月2万9980円の不足、65歳以上・単身無職世帯の家計収支
まずは、年金収入を軸に暮らす単身世帯の家計がどのような状態にあるのかを押さえておきます。
LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から、家計収支の要点を引用します。
65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
実収入のうち9割以上を社会保障給付が占めており、不足分は手元の貯蓄から補うことになります。月2万9980円の不足は、年間にすると約36万円が貯蓄から出ていく計算です。
2. 年金月額はライフコース別に6万円台から17万円台まで開く
不足額をどこまで貯蓄で埋める必要があるかは、受け取る年金額によって変わってきます。年金額は物価や現役世代の賃金動向を踏まえて毎年改定がおこなわれるため、まずは2026年度の水準を確認しておきましょう。
2.1 【2026年度】国民年金と厚生年金の年金額例
2026年度は前年度より国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられており、日本年金機構は次の金額を公表しています。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分):23万7279円(+4495円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
国民年金の保険料は全員一律ですが、厚生年金は会社員や公務員などが収入に応じた保険料を納める仕組みです。そのため受給額には個人差が表れやすくなります。
2.2 ライフコース別の年金額例も公表されている
厚生労働省は年金額改定の公表とあわせて、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分けた年金額例も示しています。
ここでは「2026年度に65歳になる人」を想定した概算を、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から引用して確認します。

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
2.3 厚生年金期間が中心の男性は年金月額17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
2.4 国民年金期間が中心の男性では6万3513円まで下がる
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
2.5 厚生年金期間が中心の女性は年金月額13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
2.6 国民年金期間が中心の女性は6万1771円にとどまる
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
2.7 第3号被保険者期間が中心の女性は年金月額7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
5つのパターンを並べると、厚生年金に長く加入し、かつ収入も高かった人ほど年金額が多くなる傾向が読み取れます。
国民年金の期間が中心だった場合と厚生年金の期間が中心だった場合を比べると、年金月額の差は3倍近くに広がります。
いまの働き方や収入は、目前の家計だけでなく将来の年金額にも直結するわけですね。


