9月15日は「老人の日」。今週21日までの1週間は「老人週間」にあたり、シニア世代の暮らしやお金に改めて注目が集まる時期です。
折しもこの秋口、日本年金機構から65歳以上の年金受給者宛てに「公金受取口座登録の意向確認書」の発送(2026年8月より順次)が進んでおり、「ご自宅に届いた」という方も増えています。
2026年度の年金額は、物価や賃金の上昇を反映し、国民年金が前年度比1.9%、厚生年金が2.0%の増額改定(4年連続のプラス改定)となりました。
ただし、総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果」によると、65歳以上・夫婦のみの無職世帯では実収入25万4395円に対し実支出29万6829円で、月々の不足額は約4万2000円にのぼります。年金が増額されたとはいえ、家計はなお赤字基調にあるのが実情です。
そんな中で届く今回の「意向確認書」。実は、単なる「同意・不同意」の手続きにとどまる話ではありません。
この記事では、意向確認書の基本的な仕組みや登録による実際のメリットに加え、見落とされがちな「年金生活者支援給付金」の最新動向まで、あわせて解説します。
※関連記事:年金の基本的な仕組みや2026年度の受給額については「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」もあわせてご覧ください。
1. そもそも「意向確認書」とは?届く人・届かない人の条件
意向確認書は、年金振込口座の情報をデジタル庁に提供し、公金受取口座として登録することに同意するかどうかを確認するための書類で、簡易書留で郵送されます。
送付の対象となるのは、2026年4月15日時点で65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金を受給している方です。
- すでに公金受取口座を登録している方
- 令和8年4月に年金が支払われなかった方(全額支給停止、振込不能など)
- 国外に居住している方
- 共済組合等から支給される年金のみを受給している方
- 令和7年6月以降の年金請求手続きで、公金受取口座への登録意思表示をした方 など
上記に該当しない方には、2026年8月から2027年2月にかけて順次、意向確認書が届く見込みです。
手続きに関する問い合わせは、市区町村や年金事務所の窓口では受け付けていません。2026年8月4日に開設された「意向確認書照会専用フリーダイヤル」(0120-74-0011、つながらない場合は050-3524-7372)へ確認しましょう。マイナンバーに関する相談は「マイナンバー総合フリーダイヤル」(0120-95-0178)が窓口です。
2. 「同意」と「不同意」、結局どちらを選べばいい?
2.1 手続きしないとどうなる?
登録に同意する場合、特別な手続きは不要です。何もしなければ、年金振込口座の情報が自動的にデジタル庁へ提供され、公金受取口座として登録されます。
意向確認書を受け取ってから45日以内に「公金受取口座登録不同意申出書」の返送がない場合も、自動的に「同意」とみなされる点には注意が必要です。たとえば9月中に意向確認書を受け取った場合、目安として45日後にあたる10月末ごろまでに返送しないと、意思にかかわらず登録が進んでしまうことになります。
2.2 不同意にすると給付金が受け取れなくなる?
不同意を選んでも、年金振込口座が公金受取口座として登録されないだけで、給付金などを受け取れなくなるわけではありません。
ただし、給付金の申請時に口座情報の記入や通帳の提出といった手間が、その都度生じる可能性があります。国が口座の残高や入出金履歴を把握できるようになるわけではない点も、デジタル庁が公式に説明しています。
3. 筆者からのコメント
「公金受取口座に登録すると、口座の中身を国にのぞかれるのでは」と不安に感じる方は少なくありません。
でも、デジタル庁が示している説明では、登録されるのは氏名・住所などの本人情報と、金融機関名・支店名・口座番号といった口座情報にとどまり、預貯金残高や入出金履歴を国が把握することはないとされています。
また、公金受取口座として登録したからといって、給付金が自動的に振り込まれるわけでもありません。給付金ごとに定められた支給要件を満たしているかどうかは、これまでどおり別に確認する必要があります。
「残高を見られる」「勝手にお金が振り込まれる」という2つの誤解を整理したうえで、同意するか不同意にするかを、ご自身の判断で選んでいただければと思います。
不同意にした場合でも、後から自分で公金受取口座を登録し直すことは可能です。焦って判断せず、必要であれば専用フリーダイヤルに相談しながら決めましょう。
