自分の年代の平均貯蓄額を知ると、「自分は平均より少ない」と不安に思う人もいるでしょう。

しかし本当に重要なのは、年金支給が始まる時点で最低いくらの金融資産を準備しておくべきかです。

そこで本記事では、総務省の家計調査による年代別平均貯蓄額と、J-FLECの世論調査による「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」を解説します。

貯蓄と必要額のギャップを埋める資産形成のポイントも紹介するので、参考にしてみてください。

苛原 寛
平均額は、自分の位置を測るための目盛りとしては使えますが、目標にする数字ではありません。ファイナンシャル・プランナーとしてご相談をお受けするなかでも、平均より少ないという一点だけで焦ってしまう方は少なくありません。まずは平均・中央値・必要額の3つを並べて見るところから始めましょう。

1. 年代別「平均貯蓄額」の実態

総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」から、二人以上世帯の平均貯蓄額を確認します。全体の平均は2059万円、貯蓄保有世帯の中央値は1264万円でした。

前年に比べて75万円、3.8%の増加です。

1.1 40歳未満・40〜50歳代の貯蓄実態

世帯主の年齢階級別にみると、40歳未満の平均貯蓄は994万円でした。40〜49歳では1381万円、50〜59歳では1756万円まで増えています。

年代別の貯蓄・負債状況1/3

世帯主の年齢階級別にみた二人以上世帯の貯蓄額と負債額

出所:総務省「家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均結果」

40歳未満は住宅ローンや教育費の負担が重なりやすい年代です。1000万円に届かない世帯が多いのは自然でしょう。50歳代にかけて、資産が増えてくる世帯が多いです。

1.2 60歳代以降の貯蓄実態

60〜69歳の平均貯蓄は2843万円で、全年代の中で最も高い水準です。ただし、70歳以上になると2471万円まで減少しています。

60歳代は退職金の受け取りで貯蓄が一段と増える年代です。70歳以上での減少は、年金だけで生活費を賄いきれず、貯蓄を取り崩している家計が多い実態を映しています。

また参考までに、世帯主が65歳以上の世帯全体の中央値は1777万円で、平均2564万円と比べて800万円近い開きがあります。

平均値だけを見て焦る必要はありません。自分の年代の平均と中央値の両方を知り、その差を踏まえて家計を点検してみてください。

苛原 寛
65歳以上で平均2564万円に対して中央値が1777万円ですから、800万円近い差があります。平均は一部の資産の厚い世帯に引き上げられるため、実感に近いのは中央値のほうです。全世代の貯蓄額の平均・中央値を単身・二人以上で比べた記事もあわせて見ておくと、自分の位置がつかみやすくなります。

2. みんなが「年金支給時に最低準備しておきたい」と考える金額

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」問25は、年金支給時に最低準備しておきたい金融資産残高を年代別に尋ねた結果です。

二人以上世帯の全国平均は2267万円、単身世帯は1859万円でした。

2.1 20〜40歳代が考える必要額

二人以上世帯でみると、20歳代は1289万円、30歳代は2430万円、40歳代は2501万円でした。単身世帯は20歳代1598万円、30歳代2396万円、40歳代2311万円です。

年代別の金融資産残高2/3

年金支給時に最低準備しておきたい金融資産残高を年代別・世帯類型別に示した表

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」をもとにLIMO編集部作成

30歳代で金額が大きく伸びるのは、結婚や子育てを見据えて将来の生活費を具体的にイメージし始める年代だからです。40歳代でさらに金額が上がる点も注目です。

2.2 50〜60歳代が考える必要額

二人以上世帯の50歳代は2459万円、60歳代は2315万円でした。単身世帯は50歳代2144万円、60歳代1728万円です。

退職が近づくにつれて、必要額はやや下がる傾向にあります。年金受給額が明確になり、老後に必要なお金をより具体的に試算できるためです。そのため、60歳代が考える必要額がよりリアルな老後に必要な最低準備しておくべき金額といえるでしょう。

苛原 寛
40歳代は、平均貯蓄1381万円に対して必要額が2501万円ですから、1000万円を超える差があります。ただ、この差を一度に埋める必要はありません。年金の見込み額と退職金を先に確認して、残る不足分を年数で割ってみると、毎月いくらから始めればよいのかが見えてきます。