4. そもそも「権利落ち」で株価が下がるのはなぜ?
配当や株主優待を受け取る権利は、権利付き最終日の取引終了時点で株式を保有している株主に発生します。
翌営業日の権利落ち日以降に株式を購入しても、その回の優待は受け取れません。
そのため、権利落ち日には理論上、配当や優待の価値に相当する分だけ株価が調整されるとされています。
ただし実際の値動きは、この理論値どおりに収まるとは限らず、その日の需給や相場全体の動向によって振れ幅が大きくなることがあります。
5. 2025年8月のケース:権利付き最終日にかけて3営業日で3.57%下落
権利付き最終日にあたる8月27日(水)の3営業日前、8月22日(金)の終値は1,859.0円でした。そこから8月25日(月)1,823.3円、8月26日(火)1,808.7円、8月27日(水)1,792.7円と3営業日続けて下落し、この間の下落幅は66.3円(3.57%)でした。
翌8月28日(木)の権利落ち日には、終値が1,784円となり、前日比8.7円(0.48%)の下落にとどまりました。
権利落ち日以降の3営業日は、8月29日(金)1,787円(+3円、+0.17%)、9月1日(月)1,789.5円(+2.5円、+0.14%)とやや値を戻す展開で、値動きは比較的落ち着いていました。
6. 2026年2月のケース:権利付き最終日から3営業日で6.26%下落
続いて、2026年2月の権利確定日前後も確認してみましょう。
権利付き最終日にあたる2月25日(水)の3営業日前、2月19日(木)の終値は2,335円でした。そこから2月20日(金)2,295円、2月24日(火)2,320.5円(間に祝日を挟んでいます)、2月25日(水)2,283.5円と、この間の下落幅は51.5円(2.21%)でした。
翌2月26日(木)の権利落ち日には、終値が2,203円まで下げ、前日比80.5円(3.53%)安となりました。
権利落ち日以降の3営業日は、2月27日(金)2,226.5円(+23.5円、+1.07%)とやや戻したものの、3月2日(月)には2,140.5円(▲86円、▲3.86%)まで再び下落しました。
権利付き最終日(2月25日)の終値2,283.5円を基準にすると、3営業日後の3月2日終値2,140.5円までの下落幅は143円(6.26%)に達しています。優待を目的に権利付き最終日ぎりぎりで株式を取得していた場合、この時点で相応の含み損を抱えていた計算になります。
7. 権利確定前後の値動きから見えること
2回の事例とも、権利付き最終日にかけての3営業日は株価が下落基調で推移していました。
権利落ち日当日の下げ幅は2026年2月の方が大きく、その後の3営業日も軟調な推移が続いた点は、優待取得のタイミングを考えるうえで押さえておきたいポイントです。
株主優待は保有しているだけで得られる魅力的な制度ですが、権利付き最終日の直前に「駆け込み」で株式を取得する場合は、優待の還元額以上に株価が下落してしまう可能性がある点には注意が必要です。
優待の実利と、取得タイミングによる値動きのリスクをあわせて考えたうえで、投資判断を行うことが大切です。
8. 記者コメント
イオンの株主優待は、100株という単元株数からイオンシネマの割引やイオンラウンジの利用が受けられ、キャッシュバックは「お客さま感謝デー」との二重取りも可能な、個人投資家にとって魅力の大きい制度です。
一方で、今回確認した2回の事例が示す通り、権利確定日の前後は株価の値動きが普段より大きくなりやすく、取得のタイミング次第では優待の還元額を上回る値下がりに直面する可能性もあります。
次回の権利付き最終日(2026年8月27日)を控え、優待の魅力だけでなく、値動きのリスクも踏まえたうえで投資判断を行いたいところです。
【免責事項】
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください
参考資料
- イオン株式会社 2027年2月期第1四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)
- イオン株式会社「株主優待制度」
- イオン株式会社「おトクな株主優待制度」
- イオンシネマ「オーナーズカードご優待特典改定に関するご案内」
高原 祥子

